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至極まっとうな良書「小さなお店のツイッター繁盛論」

久しぶりに現物を一切目にせずに予約注文した、中村仁さん著「小さなお店のツイッター繁盛論」を読み終えました。至極まっとうな本!というのが一番の感想。もちろん、いい意味で。

この本の帯には「"つぶやき"だけで月300万売り上げる豚肉料理専門店『豚組』のヒミツ!」とあります。もちろんそれは嘘ではないのですが、ツイッターをやれば売上UP!というような浅い話ではなくて、飲食店経営に対する中村さんの考え方とツイッターの特性がマッチした結果の売上UP!という話なんですよね。うわべだけの適当なビジネス本とはちょっと違うのです。

ツイッターに関する基本的な説明から具体的な運用の仕方まで、中村さんの経験談も交えつつ、具体的かつ丁寧に解説しています。でもこの本のキモは、今の飲食店業界をどう捉え、お客さんとどう向き合い、ツイッターというツールを社会の中でどう位置づけるか、という点に関する中村さんのアプローチがきちんと描かれているところ。そしてそれが非常にまっとうなので、読んでいて共感できる部分がたくさんあるんですよね。

ツイッターというツールを活用することによって、お店に期待して足を運ぶお客さんが増える。そこでますます飲食店の現場の質の高さが求められる。だからこそ、ツイッターをどう使うかを解説するなかで、単に技術的な話だけでなく、経営をどうしていくか、お客さんとどう付き合っていくかに話が及んでいきます。そうなんですよね。経営者としてちゃんとしてることがまずは大切。その前提があってはじめて、ツイッターが生きてくる。

僕は数年前から、飲食店経営者を目指す学生を対象に授業をやっていて、そのテーマは「ITと飲食店経営のデザインの基礎を学ぶ」。僭越ながら、まさに中村さんがこの本で書いているようなことを扱っていると自分では思っています(僕の場合はさらに基本的な話なんですけどね)。そういう意味でも、中村さんに勇気づけられた思いがありますし、学生のみなさんもこの本を読んでほしいなと思いました。今度授業で紹介しようっと。

ちょっと分厚い本ですが、すぐ読めるでしょう。飲食店経営とか関係ないとか思っている人も、ツイッターに関心がある人だったら得られるものがあると思いますよ。オススメです。