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Re:Creator's Kansai セミナー:長谷川恭久さんさんのセッションを聴いて

リクリことRe:Creator's Kansaiのセミナーに参加してきました。今回のスピーカーは菊池崇さんと長谷川恭久さん。前回のエントリーでは菊池さんのセッションについて書いたので、今回はヤスヒサさんこと長谷川さんのセッションについて。

セッションの内容はヤスヒサさんのブログ「could」で公開されると思いますので詳しくはそちらを。セッションのテーマでもある「コンテンツを軸にサイトのあり方を考えることが大切」には、強く共感しました。確かにコンテンツは、役職や技術の守備範囲に関係なく関係者みんなが考えられる部分です。常にコンテンツとユーザーの関係を考えることに立ち戻ることで、本質的な部分から離れることを防げると感じました。もちろん考えを深めていく過程で、Webの特性や技術的な部分の理解が必要になることはあるでしょうけど、そこをしっかり説明するのがWebの専門家の仕事ですしね。

具体例として、文部科学省のサイト「どんな?文科!」を取り上げたのも良かったと思います。このサイト、イラストもいいしシンプルで親しみやすいんですが、ヤスヒサさんいわく「CD-ROM的な閉じたサイト」という側面は確かにありますね。もちろんいろんなサイトの形があっていいですし、これも様々な制約の中の1つの答えなのでしょう。が、サイトで扱っている情報をサイトの外側に広げていくことや、このサイトから関連するさらなる情報へナビゲートすることを考えると、別の形も考えられるという視点は納得でした。

Web系雑誌にショーケースとして紹介されるようなサイトは「サイト内のコンテンツは非常に質が高いけれど、それはギャラリーというかカタログとしてであって、へぇーという満足感はあってもその後訪れることがない」というものが多いのではないか、と昔から感じています。再訪者を獲得することが大きな狙いではない場合もあるので、一概にそれが悪いとは思いませんが、やっぱり鑑賞の対象という感じになっちゃうんですよね。

このサイトは以前クライアントと見たことがあるのですが、ある人は「各コンテンツへのイラスト付きボタンが自動で流れていくのにストレスがたまる」と言っていました。止まってほしい、ゆっくり見たい、今見ている内容に関連するような項目を優先的に見たい、でも思うようにならないのがちょっと・・・という。こういう感想は、受動的な鑑賞者にとどまらない、Webの特性をふまえたものではないかと思います。

いま進行中の案件にポータルサイト的な企画があるのですが、そこに掲載する情報をいかにユーザーに届けるかを、今日改めて考える機会がありました。もちろん自サイトのナビゲーションを工夫することや、検索に引っかかるようにすることも大切です。でもこれからは、みんなが様々なメディアで情報を個々に発信する時代。ブログやTwitterやSNSのコミュニティに投稿されることや、ソーシャルブックマークされることなど、自サイト外に情報が広がっていくことも考えておきたいね、という話になりました。この展開にも、コンテンツを中心に考えることで無理なく行き着くと感じましたね。

Webのデザインをする人って、ビジュアルやコードやインターフェース設計など多岐にわたる要素を考えているわけですけど、それもみんなコンテンツをどう提供するかを出発点にしていますよね。だからこのセッションで取り上げられたようなことって、いわば「当たり前」のことだとも言えます。でもその当たり前のことを、改めて考え、整理し、言語化することで質を高めていくというのは、日々の中に埋もれて忘れてしまいがちだと思います。このセッションは、そのことに気付き行動を起こす良いきっかけになりました。とてもいいセッションでした。

ちなみに、今回はいつも以上にヤスヒサさんのプレゼンが良かったです(いつもスゴイんですけど)。抽象的な話と具体例とのバランスが50分の枠の中でちょうどよく、話も広がりすぎないギリギリのラインでまとまっていて、完成度が高いなぁと思いました。完成のための最後のピースは、セッションを聴いた人が自分の思うところをみんなと共有することで埋まるのかもしれません。ブログなりTwitterなり、クライアントとの仕事なりでね。僕はそんな思いで、頑張ってこのエントリー書いたぞー(誰に言ってんだよ)。