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プレゼンの価値を高めるために必要なこと

もうちょっとだけ関西アンカンファレンスに絡めたネタを。アンカンファレンスに参加した人たちの多くが「イベントの雰囲気が良かった」と言うコメントをしていました。アンカンファレンスは参加者が発表枠を当日その場で埋めていく形式なので、参加者が積極的に発表を申し出ないと成立しません。主催者は、重ね重ね「発表に不慣れな人も気軽に挑戦してほしい」というアナウンスをしていましたし、敷居を低くする工夫もいろいろとされていました。それが「発表を促す良い雰囲気」を生んでいたのだと思います。これは素晴らしいことですよね。

スライドを公開した記事のコメント欄でも少し触れたのですが、プレゼンテーションは、プレゼンする人・聴く人・プレゼンの場の3つが噛み合ってないとダメだ、と僕は思っています。関西アンカンファレンスで言うと、発表者は積極的にセッションを行い、聴き手は発表に協力的に聴き、主催者は話し手と聴き手が気持ちよく参加できるような環境作りをしなければならない、ということになります。

ブログ記事を読み返していただくとわかるのですが(笑)、僕は自分が参加したセミナーについては、主催者側に対するコメント(司会進行とかセッションの設定とか)や、発表者に対する意見(内容やプレゼンの手法)を書くようにしています。時には辛辣なことも書いているので、特に当事者にはウザいレポートだと思われているかもしれませんが、よりよいイベントにするにはどうしたらいいか?ということを自分なりに考えて書いているつもりです。参加したらきちんと思うことを書く。それは僕なりの「積極的・協力的な参加」なんです。そして、外野から言うだけでは説得力がないので、イベントでは積極的に発表者の立場に立とうとしていますし、今年はもっと主催側の責任も負いたいと思っています。

僕が普段発表している学会やセミナーは、Web系、日本語教育系、情報教育系と大きく3種類ですが、どうなのかなーと思う体験をすることはしばしばあります(特にカタい学会系)。建設的な意見を何も出そうとしないで揚げ足ばっかり取る聴き手とか、聴き手を舐めているのかロクに準備もせず時間も守らない発表者とか、そういうのに出会うたび、あるいはそういう発表を生むような会の運営を見るたび、悲しい気持ちになります。そんな光景を見にここに来たんじゃないし、みんなの時間を奪わないでくれよと。

今やネットの普及のおかげで、言いたいことはブログに書けばアーカイブとして残るし、UstとTwitterを使えば場所に関係なくリアルタイムのコミュニケーションができる時代です。そんな時代に、わざわざ同じ時間、同じ場所に相当のコストをかけて集まるのが学会やセミナーです。そこで質の低いコミュニケーションをすること自体、まさに「誰得」じゃないですか。

Web業界にも、日本語教育業界にも、情報教育業界にも、週末の貴重な時間を割いてイベントに参加しようとする意識の高い人たちがいるわけです。それは本当に素晴らしい。だからこそ、イベントは最大限、関係者にとって意味のあるものになるよう、ちょっとずつ互いに協力したい。話して良かった、聴いて良かった、主催して良かった、というように。だから僕は、みんなイベントレポートをブログに書こうよ、せっかくだから発表しようよ、主催は面倒でも細かいところまで気を遣おうよ、と言っちゃうのです。繰り返し繰り返し。

今回の関西アンカンファレンスで、発表者も参加者も多くの人がブログにレポートを書いていて、これはすごいなぁと思いました。発表するのも大変、聴くのも大変、主催も大変、レポートするのも大変。それは事実です。でも、やる価値は確かにあると思いますし、その価値はみんなで高めていけると思います。というか、高めていきましょうよ。やってよかったなーって、みんながそれぞれ言えるように。