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第2回関西アンカンファレンスに参加して思ったこと

関西アンカンファレンスに関する記事3つ目。アンカンファレンス全体に関して思うことなど書きます。発表のスライドと補足記事と、関連記事「発表をするのは『自分のため』だ」もよければご覧ください。

全体としては、とても良いイベントだったのではないかと思います。アンカンファレンスは当日その場でセッション担当者を決める仕組みなのですが、40ほどの枠は無事埋まりました(参加者は120名なので3分の1の人が発表をしたということですね)し、会場となった兵庫県立大学神戸キャンパスはアクセスも設備も素晴らしく快適でしたし、懇親会の会場であるオールド・スパゲティ・ファクトリー神戸店は料理も接客も素晴らしかったです(こういう良い店は意外になかなかないんですよね)。主催の @msng さんと @shin1x1 さんの司会進行も軽妙でよかったです。どうもありがとうございました。

参加者は思った以上にプログラマな人たちが多くて、CSS Niteとかとはちょっと雰囲気が違ってましたね。プログラムがよく分からない僕にはタイトルから謎のセッションもいくつかありましたが、写真の撮り方やデザイン、Web担当者の現場話などバラエティに富んだプログラムになっていたと思います。

実質時間枠は15分と8分の2種類あって、8分というのは実際やってみると非常に短いので、言いたいことを絞り込んで臨まないと、ちょっと脱線するともう戻ってこれません(笑)。なので15分より簡単だとは言えないのですが、それでもこういう短い枠があることで「これぐらいだったらやれるかも」と思う人がスムーズにチャレンジできたんだと思います。これで経験を積んだ人は、ぜひもう少し長い枠をしっかりと準備してやってみたらいいんじゃないでしょうか。「発表をするのは『自分のため』だ」にも書きましたけど、勉強会に来るぐらいの前向きな意思があるのであれば、発表にもチャレンジした方がいいと思いますね。

僕は15分のうち3分くらいを質問タイムにあてました。これは、たまたま時間が余ったからではなくて、聴き手のみなさんがどんなことに関心を持っているのか知るというのが目的としてあったからです。その場で意見がほしい系のプレゼンが他にもいくつかあったので、そういうのは意図的に時間を残して発表するといいんじゃないでしょうかね。会全体としてそういうタイプのセッションを集めて時間を都合するという形式もありかもしれません。

10時から18時まで1時間に何本もセッションを回していくので、もっとみんなルーズに聴くのかと思ったら、けっこう真面目な感じで、セッションが始まる数分前は薄暗い中誰も話をしないで待ってるという光景が多かったです。まぁ参加者間で顔見知りが少ないから当然なのかもしれませんが、もうちょっと進行が和ませる感じもあってもよかったかな。CSS Niteにおける鷹野さんの「ちょっとその場で伸びをしましょうー」というやつみたいに。ほか、セッションの合間は電気はつけておいた方がいいかも。暗いとテンションも下がりがちですし。セッションが始まるときに電気を消したり、司会がマイクでごく簡単にセッション名とか読み上げると、聴き手も「よし聴くぞ」って意識になるんで、そういうのもいいかもしれません。まぁ堅苦しくなってもあれなんで、ここらへんは好みかな。

個々のセッションとしては、 @mzsm_j さんの開発した新感覚短縮URLサービスつい短.jpの紹介が印象的でした。URLに対する説明文の日本語そのものをURLにしてしまうという発想と、それをサービスとして実現していること自体に価値があるので、そのプレゼンがつまらないはずはないのですが、プレゼンの手法も聞き手の心をつかむ工夫があってよかったです。

一度ナマで話を聞きたいと思っていた「頭ん中」の @msng さんは、短めセッションでGmailのショートカットについて説明していました。ネタ自体はGoogleのヘルプに書いてありますし、それを扱ったブログ記事なども存在します。ショートカットがあること自体驚くべきことではないですが、僕を含めほとんどの人はそれを使いこなすレベルまで至ってなかった。そんな聴衆の心をガッチリつかむ、ハイテンポでツボを押さえたデモは、さすが上手だなぁと感じましたね。ああいうプレゼンを「さっとやってみせる」のはカッコいい。タイプは違いますが @shin1x1 さんのプレゼン(iPhoneアプリ「聞きメール」の紹介など)も堂々としてて良かったですね。遊び心を出せる余裕があるのはうらやましい。

あと、ちょっともったいないなぁと思ったのが、セッションのタイトルのつけ方。参加者がタイトルで参加セッションを選ぶ形式なので、発表者は自分が「聴いてほしい」と思う人の心をつかむタイトルを付けることが重要だと思うんですよね。でも、その観点ではどうかな?って思うものがいくつかありました。

例えば、すごく抽象的で悩み相談的なタイトルのセッションに行ったら、それは枕にすぎなくて実際はライブラリの紹介とか特定技術や言語の話だったりするわけです。それだったら、やっぱりタイトルにライブラリ名や技術、言語の名称を入れておいた方がいい。できれば聴き手のレベル、例えば言語の入門解説なのかエキスパート向きの話なのかもわかるようにした方がいい。でないと、参加者が思ったのと違ってがっかりしたり、逆に「その話だったら聴きたかったのに」みたいなことが起こる確率が不用意に上がっちゃいますよね。それは発表者にとって損でしょう。

はてブのホンテントリ的なタイトルをわざと付けるのも、ネタなのはタイトルだけで中身がしっかりしてるのか、本当にネタなのかはわかりませんよね。ブログの記事なら、さらっと見て違ってたら閉じればいいだけですけど、セッションは現実的に途中で変更しにくい。1セッションの時間も短いので、別の部屋に途中参加してもついていけなかったりしますし。予想以上にネタのみでややガッカリとか、ネタだと思って聴かなかったらちゃんとした話だったらしいとか、あったので。選択のリスクの大きさがブログ記事とは違うんですよね。

僕も学会発表でわざと煽ったタイトルをつけることをよくやるんですが、インパクトがあって話題になる反面、本当に聴いてほしい(真面目な)先生から敬遠されたりもして、これは難しいなぁと感じています。会場にいる人はどんな人たちで、その中でもどんな人たちに聴いてもらって、どんなレスポンスを得たいかをしっかり考えた上で、どんなタイトルをつけるか決めた方がいいですね。これもひとつのコミュニケーションスキルというか、プレゼンの一部なんだと思います。

ということで、3つも記事が書けたし、いろんな収穫を得られたイベントでした。今回発表をして自信をつけた方が、他の場で活躍されることを楽しみにしています。