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アウトプットを支えていく仕組みづくり

ふと電車に乗っているときに頭に浮かんだよしなしごとをツイートしていると、微妙によくわかんない内容の主張になったり、前後関係ないツイートなんだけど連続で読むとそれっぽい謎の主張とかが出てきます。それにreplyとかRTとかしてもらうと、やっぱり言葉を尽くして説明したほうがいいなぁと思うので、ツイートの補足的な記事を書いてみます。

スーパー教師の時間外労働による教材の無償公開は、その心意気は素晴らしいと思うけど、それにみんなが群がらざるをえない現状への危機感も業界として持つべき。じゃないと常に頼りっきりではスーパー教師もいつかつぶれてしまう。

このツイートは、7年くらい前に情報教育の学会で感じたことが発端になっています。そのときは高校の先生が発表してて、こんなツールを作ったんで使いたい人はどうぞ、という話でした。これが結構な手がかかってるなぁと思わせる、たぶん通常勤務時にじゃなく週末にかなりの時間を費やしたであろうもの。すごいなぁと思ったのですが、そのとき引っかかったのが、そういうツールを作るほんのわずかな人と、それ使う非常に多くの人という、バランスの悪さでした。

それは普通に教材として教師全員の手元にあってしかるべきもの。でも実際にはない。だから希有なスキルを持った教師が作った。それをみんなが使う。結果としては悪くないけど、そんなごく少数の人のスーパー日曜大工に頼らなければ大きな問題が解決しないという状態を、何年も業界として続けてていいのかと思うのです。学会か教材開発会社のような「作ることに注力できる組織」が出てこないと、継続的かつ安定的に業界全体の改善を続けていくことは難しい気がします。

教育で儲けるという発想自体おかしいと言うけど、お金が動かない世界で何かが生まれるのを期待するのは難しい。大切なのは誰から誰へどのようにお金を動かすべきなのかを真面目に考えることじゃないの?

さっきのツイートの直前にこれ書いたので、流れからしてお金が大事ってニュアンスが強く見えたかもなのですが、実はそうじゃなく。先のツイートにあった「無償」というのは、ビジネスモデルにおける金銭の授受という点じゃなく、頑張りすぎるくらい頑張ってる人のボランティア精神に「おんぶにだっこ」なことを強調したかったのでした。

日本語教育系の学会とかで発表してて思うのが、教材が無償か有償かで、学会主催者の風当たりが違う感じがすること。例えば「学習者向けの語彙のデータベースをWebに公開したんで自由に使ってねー」と発表で言うのはまったく問題ない感じなのに、それを「書籍にアレンジして発売しましたんでどうぞー」と言うと、主催側から「宣伝は控えてください」とか釘刺されたりするんです。いやもちろん露骨な営利目的の宣伝発表だったら良くないと思うんですけど、ちゃんと教育学的にも意義のある発表やってるつもりですよ。それを教材化した結果がWebサイトや書籍なだけじゃないですか。使ってくれないと意味ないんだし。有料の会員登録が必要だとWebでも言われるんだろうな、お金が絡むと「宣伝ヤメロ」って空気になっちゃうのだな、と勝手に思っています。どうなんでしょう。

ある程度の規模と質を伴うものを作って広く伝えるのって、どうしてもお金がかかるんですよね。書籍には書籍の、映像には映像の、WebにはWebのプロに任せないとできないレベルってあるでしょ。イニシャルコストをある程度回収できるなら、気持ちよくプロに協力をお願いできることって多いと思うんです。最終的なアウトプットが無償配布だからって、組織が作ってたら会費とか税金とかで誰かがお金を出してるし、個人だって身を削ってやってるわけじゃないですか。コンピューターのアプリにしても、フリーウェアでも作者への敬意を表現して使わせてもらうのが筋でしょ。それが寄付なのか、フィードバックなのか、エバンジェリストになるのか方法はいろいろあって、シェアウェアと根本的な違いがあるわけじゃない。

あと、媒体という意味では、出版社って暗黙の優遇があるの?って思います。発表では宣伝NGな空気があっても、学会では結構目立つところに出版社はブースを出させてもらえてたりで、特別な感じがするなぁと。個人でiPhoneアプリ作ったんで売りますとか、Webサービスいっしょに作りませんかとか、そういう出店って快くOKしてもらえるんでしょうかね。いまだ見たことがないですけど。

アウトプットをしている人たちへの敬意を形にしていくという意味でも、僕はもっと売ったり買ったりの流れがオープンに起こってもいいと思いますし、お金じゃない形でのやりとりももっとあっていいと思います。特にWebがどんどん普及していくこれからは、アウトプットをする人も、それを支えていく人も、もっと増えていかなきゃいけないはず。そういうのが、業界を元気にするってことなんじゃないのかなぁ。