ゲームからデザインを学ぶのにオススメの本とか
- 2013年06月13日
先日スクーで行われた、長谷川恭久さんの講義「ゲームから学ぶデザイン思考術」の録画が公開されました。60分ほどですが、特にデザインを仕事にしている人には得るものの多い内容だと思います。無料で(登録は必要ですが)見られるので、ぜひどうぞ。
ゲームからデザインのあり方を学べる、というのは僕も以前から思っていることで、このブログでも何度か記事にしています。ただ、特にWeb界隈の人たちはゲームに熱中した経験がある人が多いようなのに、それを分析して仕事に生かすような話はあまり聞かないのが、不思議でなりませんでした。なので、長谷川さんがわかりやすい形で視点を整理してくれたのは、僕としても非常に嬉しいことでしたね。
僕が最近やったゲームで、特に印象に残っているのは「カルドセプト」です。ゲームの内容としては「カードバトル+陣取りすごろく」といったものですが、かなりルールが複雑なんですよね。そのルールは、ゲーム序盤でチュートリアルを織り交ぜて説明されるのですが、そのやり方が実に巧み。ゲームの世界観やプレイヤーのモチベーションを損ねることのないよう、いろいろと配慮されていることが感じられます。パッケージに同梱されている紙には説明らしいものがほとんどなく、始めるまでは少し不安だったのですが、ゲーム中に何度も「あーうまい説明だなぁ」と驚きの声を上げてしまいました。公式サイトの見せ方もなかなか良いですので、それを見るだけでも学べることはあるかと。
ゲームから学ぶには何よりゲームをやるのが一番ですが、ゲームに関連する書籍を読むのも勉強になります。以下、僕のおすすめをいくつか挙げておきます。
軽いタッチで面白おかしく書かれていますが、中身は本格派の実用書。どのようにゲームを設計するのかという話は、めちゃくちゃ面白いです。何らかの企画に携わる人には特に参考になると思いますよ。具体的な解説があるので、桝田さんのゲームを知らない人でも大丈夫です(僕もプレイはしたことがない)。
サイトウ アキヒロ「ニンテンドーDSが売れる理由 ―ゲームニクスでインターフェースが変わる」
タイトルと中身がかなり違っていて、これはゲームのインターフェースデザインを豊富な具体例とともに解説した本です。売れる理由とか、ゲームニクスの理論とかについては、大したことは書いていません(笑)。でもインターフェースに関する基礎資料的な価値は高いので、ゲームを分析視点で考えたことがない人は一読の価値ありですよ。
横井 軍平「横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力」
横井軍平さんは、任天堂で数々のオモチャやゲームの開発に携わった天才。彼の視点や発想の豊かさ、ビジネスマインドと遊び心が伝わってくる本です。モノづくりに関心が強いWeb界隈の人なら、きっと楽しめるんじゃないでしょうか。
斎藤 由多加「『ハンバーガーを待つ3分間』の値段 ―企画を見つける着眼術」
短くエッセイ風の語り口でサラッと読めますが、なかなか考えさせられる奥の深い本。僕は調理師学校の学生に「サービス論」の授業でこの本をよく紹介しています。個人的には「シーマン」の開発秘話が、人間の面白さを改めて教えてくれるようで大好きです。
西田 宗千佳「美学vs.実利 『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」
僕はゲームは任天堂派で、マリオの生みの親である宮本さんの話はよく読むのですが、これはソニーのプレステの生みの親である久夛良木さんの話です。ゲーム機戦争のドキュメンタリーなので、これまでゲーム業界に全然関心がなかった人には向かないかもしれませんが、同じく進化が激しいとされるWeb界隈の人には親近感もあるのでは。結構な長さですが文章が上手なので読みやすいですよ。
以上、僕の好きな5冊でした。みなさんも、オススメの本やゲームがあったら教えてください。