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WebのためのWeb以外 ー「Web制作者のための仕事の作り方・向き合い方 in 大阪」に参加して

先日「Web制作者のための仕事の作り方・向き合い方 in 大阪」というイベントに参加してきました。話の方向性としては、2ヶ月ほど前のリクリのセミナーに近い、言うなれば「どんな働き方をして生きていくか」系。今回の方がもっと「いわゆるWeb制作」とは離れた実例のセッションでしたね。

内容については、たぶん他の参加者、よしぱんさん(誰)とかが書いてくれると思う(→よしぱんさんも書いてくれたよ!)ので、いつも通り感想だけ。

本編やトークセッションの中で「打ち合わせは決裁権を持つ人とすることが重要」という話が出ました。たとえば社長と直接話し合えれば、承認待ちのロスもないし、伝言ゲームにもならないし、組織としてすぐに動いてもらえるということですね。それを実現するためには、もちろんクライアントの組織形態も重要なのですが、Web制作者側にその価値があることも重要だと思いました。経営上重要な話ができる制作者であること、経営上重要な事業を任せられる力がある(と期待できる)制作者であること。

もうずいぶん昔のことですが、Web系のイベントに登壇した際、参加者から「うちのクライアントはわからず屋で困る」みたいな話が出たんですよね。そのときのセッションテーマは「クライアントを啓蒙することでプロジェクトのステージを上げる」といったことでした。その絡みで、僕は「粘り強く啓蒙を続けるか、もっと理解のあるクライアントに乗り換えるか、どちらかですよね」という話をしたら、すごくムッとされたんです。それは解決策にならないでしょうって。でも、クライアントに高いレベルを求めるなら、制作側も相応のレベルでないと筋が通りません。

僕は制作会社の勤務経験がないままフリーランスになったこともあり、手がける案件はほとんどが直受け(クライアントから直接依頼を受けるタイプの仕事)です。自分が全工程をひとりで担当する場合もあれば、同業者に開発の一部を手伝ってもらったり、クライアントのかわりに制作協力者の選定・発注・ディレクションだけを行なうような(企業のWeb担当者的な)場合もあります。いずれの場合も、クライアントが求めるものや現場の問題に直接ふれて、それに応えられるよう自分が勉強したり、リソースを揃えたりするわけですから、クライアントのニーズと自身のスキルの磨き方は密接に関係しています。自分の職種が何かなんて、いわば二の次です。

Web業界は、デザイナーの地位が低いとか、長時間労働のわりに儲からないとか、そういう不満をよく耳にします。僕も仕事をしながら、仕事の価値がクライアントに十分に理解されていないなぁと感じることはあります。その打開策として、フリーランスでも会社組織でも、より上位レベルの意思決定に絡むような仕事をすることが挙げられるでしょう。そのためには、その上位レベルの意思決定に必要な価値を、自分たちが持っていることを示さないといけない。少なくとも、その価値観に照らし合わせたうえでの自分たちの値打ちを、まずは自分たちがきちんと知らないといけないはずです。

となれば、自分の得意な領域や、付き合いのあるクライアントの仕事の範囲を参考に、Webとは違う専門のお勉強こそ(広く浅くなのか、狭く深くなのかは別にして)しなければならないと思うのです。そこをある程度押さえてこそ、クライアントの土俵に乗ることができるし、自身の専門性が成立するのではないかと。

つい最近も似たようなことをツイートしたのを思い出しました。

のび太、Webばっかりやってないで、ちゃんと勉強しなさい。