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日本語教育学会で発表してきました

日本語教育学会で発表するため、週末は東京に行っていました。しかし今年に入って4月以外は毎月東京に行ってるなぁ・・・普段は年に1回とかなのに。

学会会場ではマスク着用のこと!とか事前に告知してたのに、会場ではマスクをしてる人がほとんどいない有り様。会場でマスクをしている人=関西からきた人、という感じ。確かに東京に着いてからマスクマンなんてほとんど見なかったので、やっぱり認識が大阪とは違いますね。大阪は繁華街の人通りもいくぶん減ってますし、老若男女マスク着用してますから。話それますけど、新型インフルエンザにかかった学生の学校の校長の涙ぐみ謝罪とか、それに「社会的責任を考えろ!」って抗議の電話をかける外野とか、タクシーから外に出させない修学旅行とか、感染者の足取りを執拗に子細に報道するNHK含めた報道番組とか、なんだか最近わけわかりません。

発表では、e-Learningの開発と評価、というテーマでお話してきました。内容を知りたい方は下のスライドを見てやってください。評価の仕方をバーンと提示してくれるのかと思って聴きに来てくれた方もいたかと思うのですが、発表ではより基本的な「評価を考える要素」の提示にとどめました。僕の関わってるプロジェクト自体が、そういうきっちりとした費用対効果を出すのにそぐわないからというのも大きいのですが、実際のところ、強制力のある社内教育のケースでもないかぎり、数字で分かりやすい評価がビシッと単純に出るわけないでしょ?と思うんです。だから価値がゼロなのかというとそんなことはないですし、評価の強力な物差しを期待する方が無理があるんじゃないでしょうか。

評価のための要素って、ログイン回数とかクリック率とか数字で取れるものは数字でいいんですけど、利用者や教師にインタビューして得られるような質的なものがほんとは主役だと思います。このツールは役に立ちましたか?とか、そういう5段階マルつけアンケートは微妙ですね。そんなざっくりとした評価はいくら集めたって本質が分かるとは思えないです。

現状をどう観察し、どう解釈し、それに対してどう応えるかがデザインで、評価もそれと同じなんじゃないか、と思っています。僕がよく知らないだけなのかもしれませんが、e-Learningの構築も評価もきちんとしたデザインの意識でやってるケースって、たぶんごくわずかだと思います。だって、難しいですもの。サイトのユーザビリティ云々の話ともよく似ていて、あれだってたくさん専門書が出ていても、開発プロセスの中でちゃんと取り入れられてるところは少ないでしょう。開発の試行錯誤の中で得られた評価的な視点と、評価の試行錯誤の中で得られた開発の視点。両者は密接に関わっているもので、それを実感しない限り、誰かが作った評価のモノサシを安易に使ったところで、適切な評価なんてできないです。現場関係者はもっと実践して、もっと勉強しなければいけない。厳しいようですけど。

それとは別に、いわゆるステークホルダーが「e-Learningを導入しさえすれば全てがうまくいく」なんて思ってるのなら、それも大きな問題です。個々のケースでの努力だけでなく、業界全体で「学びとはそんなものではない」「人間はロボットではない」ということを主張していかないといけない。僕ら教育関係者に課せられている課題は大きいんですよ。

最近は僕の口から「e-Learning」という言葉が出るようになりましたけど、ほんとは「e-Learningってキライ」なんですよ。よくあるe-Learningソリューションって、全然「Learning」が尊重されていないと思うんですよね。だからこの言葉のイメージは僕にとってはずっと悪いままなんです。他に言いようがないから使ってますけど。僕は、学びたいという意欲や、楽しさ、面白さをサポートするような何かを作ることに関わっていたいだけなんです。