キャリアデザインについて本気出して考えてみた
- 2009年11月28日
キャリアデザインについて書くよー、でもその前に自分のキャリアについて書くよー、ということで書いたのが前回のエントリー「わたしの履歴書」。あれから3ヶ月以上が経ってしまい、後編で書きたかったことを忘れてしまいましたよ。でも書かないと中途半端なので、とりあえず前回冒頭で少し触れた、キャリアデザインの本について書きます。
夏に日経BPの方から紹介してもらったのは「キャリアデザイン講座」という本です。大学の教育にキャリアデザインが加わるというのは良いことだと思いますし、こういう本が出てくることの意義もあると思うのですが、本の出来という点では今一つという感じでした。
くそ真面目すぎるというか、良くも悪くも教科書的なんですよね。主な読者層は大学生ということですが、表紙がポップなわりに中身はインパクトの少ない紋切り型の語り、内容もさほど深いわけでもないので、学生が自分で最後まで読み進めるとはちょっと考えにくいです。
大学の講義で教科書的に使うと考えると、教師の力量が問われるというか、そのまま講義にしたって大して意味を成さないと思うんですよね。就活という大イベントに否応なく意識は向いているけれど、働くということに悩みも深い大学生には、教授が通り一遍の情報を一方的に与えるだけでは響かない。タスクシートも、ほんとにオマケ程度で使えるものとは言いがたいかなという印象です。
日経BPの方も言ってましたけど「石の上にも三年=とにかく我慢して働いてみよ」な内容なので、まぁ大人がそう言いたい気持ちもわかるんですが、いま必要なのは「学生目線で、いっしょに、働くことや社会について考えてみる」授業なんじゃないかと思います。学生がいろいろ考えて、思いを吐き出して、結果「石の上にも三年」な道を選んだにしても、最初から教科書の内容を押し付けられるのとは決定的に違うんじゃないでしょうか。そんな授業にするための教材として、もっと違う形があるんじゃないかなぁと思うわけです。
キャリアデザインは、就活のタイミング1回きりだけじゃなく、人生で何度も仕切り直していかなければならないもの。時代も変わっていくのだし、価値観も人それぞれ。外野の「こうあってほしい」という思想はあっても、人生はその人のものですからね。だから基本は、その人が(いろんな情報を得ながら)自分でキャリアをデザインしていけるようなスキルを持つことが望ましいのだと思います。
上述の本もそれはきっと十分承知の上でしょうし、数あるビジネス書もそうなんでしょうが、どうも「あなたはこういう道を歩いていくべきよ」という具体的提案に偏りすぎてるかなぁ、という感じがします。情報の受け手もそれを求めすぎていて「私はどうしたらいいでしょうか・・・?」状態というか。目標に向かってまっしぐら!だと脇道にある素敵なものが目に入らなくなりますし、流されてハッピーな人生というのもアリですからね。いろんなパターンがあるということ、厳格に何かを守ることだけが生き方ではないこと、いろいろ考えることは無駄ではないし、時には思い切って踏み出すことも大事・・・それじゃ全然教えられないじゃんって感じですけど。
僕なりに上述の本をアレンジするなら、もっとインタビュー記事をたくさん載せて、しかも当人の声(考え方)がリアルに感じられるような文体にする、ということですかね。で、授業では、自分の親や親戚、近所の人たちの人生観を集めていく。いろんな人のいろんな生き方を知って、気に入ったものを自分の人生に取り入れていく。
悩みに悩んでも、毎日を生きていかなければならないし、人生はあなたのもの、そしてそれは捨てたもんじゃない。そういうキャリアデザインのアプローチも、面白いんじゃないかと思います。