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デザイナーの仕事

デザインというのは問題解決なのだと思います。何か現状では望ましくないことがあって、問題を設定して、それを解決するための取り組みすべてがデザイン。

僕はどちらかというと、プロダクト(できあがったモノ)よりプロセス(できあがるまでの過程)のデザインに関心が強くて、ビジュアルデザインを自分で手がけることの喜びより、初期段階からディレクションをすることに気持ちが入る傾向があると思っています。サイトなんかは、できあがったら(少なくとも自分が作ったぞという自負の面では)興味が薄れがちですし。

Web制作の過程でいちばん嬉しいと感じるのは?と思って振り返ってみると、今まで自分が「しなければならなかった」ことを「しなくてもよくなった」とき、なのかなと感じます。

僕の仕事は、場の問題を設定したり解決したりすることのお手伝いだと思うのですが、問題の解決はもちろん設定まで僕がどっぷりと漬からないと何ともならない、と感じるケースもあったりします。それはそれでやりがいがあるというか、別に悪いことではないのですが、僕が手がけたら解決したぜ!という手柄感はあんまり重要じゃないんですよね。

逆に、関係者と問題の設定やら解決やらに取り組んでいくなかで、みんなの考え方や意識が変わってきて、僕が言わなくても問題にすっとフォーカスできたり、解決のための冴えた一案が出てきたりする現場に遭遇すると、それはとても嬉しい。ああ、みんな着実にレベルアップしてきたなぁ、いろんなものが見えてきたなぁという、ね。

関係者が自分たちで問題を解決できるようになったら、つまりデザインできるようになったら、そこに僕の仕事はどんどんなくなっていく。でもそれは不幸なことではないですよね。むしろそうなることを狙って、デザインを積み重ねていっているわけだから。

デザイナーと呼ばれる人たちだけがデザインできる・・・なんて、そんなことはないわけです。デザインの必要性を感じ、デザインのスキルを磨き、デザインを実践する人がデザイナーであるとするなら、僕らはみんなデザイナーになっていったほうがいいし、それを思いながら活動するのがデザイナーだと思っています。

僕の仕事としてのデザインは、いつか別な人、別な場所、別の問題へと移っていくものだと思います。僕がデザインに対する気持ちを失わず、誰かに必要とされる存在であり続ければ、それはきっと続いていく。そう思いながら、日々を積み重ねていきたいですね。