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自己アピールの好例

ちょうど学会発表と重なっていたこともあって参加できなかった WCAN 2012 Autumn ですが、学生セッションにもなかなか良いプレゼンがあったようですね。

塚本みどり(18) 主に絵を描いてます!【WCAN 2012 Autumn】

もちろん、プレゼンのスライド資料だけ見て推測するのは乱暴なのですが、あーこれはしっかりしたアピールが出来てただろうな、と思えるようなスライドです。どこがそう思うかって?

ひとつは、自分の経歴や活動内容を知ってもらうという主目的に対して、ソーシャルメディアが与える影響を自身の経験を通して語るという、ちゃんとWCANの参加者(=Web制作者)の関心に引っかかるアプローチを用いていること。単なる自己アピールのオレオレ時間でもある程度は許容されるのかもしれませんが、やはりこうして「ひとつの事例発表」としても捉えてもらえる形を取る方が、聴く側にとっても入っていきやすいと思います。

もうひとつは、最後のスライドで「コンシン会にも出席してます」と、さりげなく、でもきちんとアピールしていること。いいですね、こういうの。懇親会では声かけてください、私もお話しに行きます、っていう姿勢が出ていますよね。たぶんその通り実践されて、実際によく声もかかったんじゃないかと思います。

僕はWCANに限らず、学生が多く参加する学会発表やイベントには好んで出かけるのですが、本当に「ただ場にいるだけ」になってしまっている学生が多くて、茶話会の大御所ならともかく、学生には安くない会費を払って来ているのだから、ちょっともったいないと毎回感じます。短い時間とはいえプレゼンの時間が与えられてるのですし、これは自分のことを多くの人に知ってもらうチャンスです。最大限の準備をして、自信を持ってプレゼンしたらいいと思います。そりゃあ、経験不足でうまく伝えられなかったり、内容そのものを十分に詰め切れなかったりして、客観的に見たらいまひとつのプレゼンになることもあるでしょう。でも懸命に準備して臨んでいれば、その姿勢は聴き手にも伝わるし、特に学生やビギナーであればそこを評価してくれるものです。この人の次の展開が楽しみだな、と思わせることが大切なのですから。

そしてプレゼン後も「あー終わったー」と気を抜いてしまうのではなく、懇親会で友達同士で固まっておしゃべりするのではなく、他のプレゼンに対する質問や感想を登壇者に伝えに行った方がいいです。プレゼンに対してコメントをもらえることは、プレゼンをした側にとっては本当に嬉しいことですからね。そしてその流れで、自分のプレゼンについても尋ねて、さりげなく自分をアピールすればいいんです。

ちなみに僕が昨年WCANでセッションした際は「じぶんブランディング」と称して、名刺に工夫を凝らすことで、自分のことを伝えやすくなるよ、というお話をしました。これも、名刺交換をプレゼンに見立てているだけで、自己アピールについて同じような考え方の話をしています。

LTのフォローアップなど(WACN 2011 Winter)

やり方はどうでもいいし、プレゼンのスタイル、もっと言えばプレゼンの内容も別にどうだっていいんですよ。どうせ短時間で伝えられることは限られていますし。大切なのは、あなた自身丸ごとを見られている、ということ。それはプレゼンの壇に上る前から始まっていますし、壇を下りた後も続いています。例えば懇親会までとかね。家に帰るまでが遠足だから、とりあえずその日くらいはそこを意識してたらいいと思います。

ときどきパーソナルブランディング云々の話をする僕ですが、基本的に自己アピールって気恥ずかしくて、改まった形ではあんまりやりたくないです。特にフリーランスという仕事のスタイル上、人とのつながりが特に大事ですから積極的にやりますけど、好みでいうとね。ただ、若いとか学生だとかいうのは、勢いで押しても許されやすいところがあるし、ダメな結果になっても忘れてもらいやすい気がします。だから、本音はあんまり気が進まなくても、今のうちにチャレンジして、自分に合ったコミュニケーションスタイルを見つけるのがいいんじゃないでしょうか。しゃべりで攻めるなり、ポートフォリオで攻めるなりね。でもまずは存在に気づいてもらうことが先決です。

塚本さんのスライドに少しだけおせっかいを言っておくと、スライドの文字はもう少し大きくできるレイアウトを意識した方がいいかもですね。会場とスクリーンの大きさにもよりますけど、読めそうで読めない文字はストレスが溜まるので。あと、ビジュアルとして見せられる作品なので、もっと大きく鮮明に、スライド1枚に1つの写真、ぐらいに扱ってもいいかと思います。その方が印象に残りやすいですしね。写真のチョイス自体はいいと思うので。

プレゼンが聴けなくて残念ですが、こうやって資料がオンラインに存在していれば、それを見て僕のように思う人も出てくるわけですから、積極的に情報は出していってもらいたいなと思います。Webって本当にいいものですよね。