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失敗しない鶏もも肉の焼き方

本記事は「鶏もも肉の焼き方を調べて、こうやったらうまくいった」を、まとめたものです。

最初に断っておきますが「俺のこだわり料理」的な話ではまったくありません。調べることになった経緯は「中が生焼け or 焼きすぎ」を繰り返したことにあります。レシピ本通りにやっているつもりなのに、どうも結果が安定しない。料理が下手なのは別にいいのですが、特に「包丁入れたら身が赤い」というのはすごく楽しくないので、何とかしたかったのです。

焼き方を解説しているYouTube動画を調べてみたところ、思ったよりたくさん存在しているし、手法の比較をしていくとなかなか面白い。1年ぐらいダラダラとリサーチと実践をしたので、その結果をまとめておこう。そう思って書いています。

僕のやってる焼き方

最終的に僕が行き着いた手順は、以下のようなものです。

  1. 肉に気になる脂や筋や骨があれば取り除く
  2. 厚みの差が気になる場合は、厚い部分をひらく
  3. 両面に塩(小さじ1/2)を振り、肉が常温になるまでおいておく
  4. 表面の水分をキッチンペーパーで拭き取り、皮をよく伸ばす
  5. フライパンに油を敷き、皮目を下にして広げて置く
  6. 弱火で12〜15分ほど焼いて皮目をパリッと仕上げる
  7. 裏返してアルミホイルをかぶせ、火を止めて5分ほどおく
  8. 取り出して、皮目を下にして包丁でカットする

上の手順とは少し違うのですが、最も参考になった動画は、こうせいさんの動画です。お前の体験談はいいから方法を教えろ、という人はこれを見ていただけると良いかと。

ひとつのバロメーターは「皮がバリっとしてる」かどうか

調べていて気づいたのは、多くの動画は、僕が知りたい「中まで火を通す方法」ではなく「皮をバリっと焼く方法」をテーマにしている、ということです。皮がバリっとしてる方が美味しいと。性格的に大して味を追求する気はないのですが、何回も焼いて食べているうちに、これは「うまく焼けているかどうかのバロメーターにもなるなぁ」と思うようになりました。

皮がバリっと焼けている状態というのは、ジョージさんの動画「【シェフの技】プロはここが違う 原点にして頂点<皮が圧倒的にバリっと仕上がる>鶏もも肉の焼き方」(11:50)の解説などを参考にしています。実際にやってみて実感したのですが、皮が薄く、皮と肉の間に余計な脂がない状態だと、皮がまっすぐにバリっとしますし、時間が経ってもその状態が大きく変わることがありません。脂っこさや臭みもなく、食べごたえはあるのに軽いので、なるほどこれを目指すのは見映えの面でも味の面でも良いなと。

そして何より、皮がバリっとしている状態を目指して焼くことが、生焼けや焼きすぎを回避することにもなる、というのも実践してわかりました。上記の動画(9:16)でも解説されていますが、身でなく皮目を焼いている時は、肉とフライパンがが直に接していないので、長時間焼いていても肉が固くなりにくいようです。であれば、中が生焼けにならないよう安心して火を入れ続けられます。

焼くまでの準備

専門知識がないので結果からの推測ですが、生焼けの原因の1つは「肉を冷たいまま焼いていた」ことにあるのではないか、と。肉は常温に戻してから焼く、というのは知ってはいたのですが、徹底してできていたわけではないし、そもそも常温とは何かも調べたことがなくて。結果的に冷たいまま焼いていたケースが多かったのかなと今では考えています。

多くの動画では肉の下処理をしていました。個人的に味のこだわりはあまりないものの、物は試しと焼く前にあれこれやったので、結果的にそれが肉を常温に戻すことにもつながった気がします。今は室温も考慮しつつ、調理前に冷蔵庫から出しておき、塩を振ってからも15分ほど置いていますね。

塩の量は肉の重量の0.8%〜1%と説明している動画が多いです。肉の大きさによって毎回塩の量が変わるわけですが、僕は小さじ半分(3g)を振っています。塩を振るとやがて表面に水分が出てくるのですが、それを拭き取る際に塩も取られるので、結果ちょうど良いくらいになるかなぁと(雑)。

場所によって厚みに大きな差がある肉の場合、肉を開くことはあります。開き方をGoogle検索すると観音開きの解説が多く見つかりますが、薄くなると水分の保水力が落ちるそう(こうせいさんの動画「【シェフの技術】このチキンステーキを知らないと人生損します」など)なので難しいところ。昔は何となく大きく厚めの肉をスーパーで選んでいたのですが、小さめの方が焼きやすいなぁと今は思うようになりました。

皮目の焼き方

皮目の焼き方は動画によってバリエーションがあって面白いところ。僕は鶏関連のレシピ本として、笠原将弘「鶏むね、鶏もも、俺に任せろ!」を愛用しているのですが、この本の「鶏ももの塩焼き」のレシピ(p.14)では

皮目をしっかりフライパンに押しつけ、動かさないように5分ほど焼く。ここで勇気を持っていじらずに放っておくことが皮目をカリッと焼き上げるコツ。

とあります。火が入ると皮が縮み凹凸ができるので、フライパンに皮を押し付けて隙間をなくそう、という狙いのようです。動画だとリュウジさんの「いつもの鶏肉が10000倍美味しくなる焼き方教えます【至高のテリヤキチキン】」(10:39)などでもヘラで押し付けながらやっていました。

あるいは、もっとしっかり押さえつけるために、重石を乗せるケースもあります。同じくリュウジさんの「これ以上に鶏肉を超カリカリに焼き上げる方法を知らない。奥義圧縮焼き【至高のチキンステーキ】(7:51)」や、先に紹介したジョージさんの動画「【シェフの技】プロはここが違う 原点にして頂点<皮が圧倒的にバリっと仕上がる>鶏もも肉の焼き方」(6:20)などです。

一方、押さえつけないで焼くスタイルの動画もあって、こうせいさんの動画「衝撃!!皮パリパリ【究極のチキンステーキ】」(5:00)を初めて見たときは驚きました。押さえつけて動かさないどころか、何度も裏返して焼け具合を確認してるんですよね。一度フライパンに置いたらさわっちゃダメ!と思い込んでいたので、この方法なら気楽に焼けて良いなぁと感じて採用しています。

同じく押さえない焼き方としては、鳥羽周作さんの動画「ミシュランシェフが教える皮がパリッパリな「究極のチキンステーキ」」(2:30)や、日髙良実さんの動画「【巨匠が教える】普通の鶏もも肉が最高にジューシーで美味しくなる焼き方 【リストランテ アクアパッツァ・日髙良実】クラシル」などが参考になりました。いずれも「火は弱めでじっくり焼く」のがポイントのようです。

自分でも手順や火加減などを試したのですが、冷たいフライパンに肉を置いてから火をつける形だと、火傷や油ハネの心配もなく安心でした。火加減はフライパンやガス/IHにもよるかもしれませんが、大丈夫かな?と心配になるぐらいの「ほぼ弱火」でOK。皮を確認する時間を毎回固定にしておけば、途中での調整もしやすいです(僕は4分経過の状態を判断基準にしています)。10分以上かけて焼くので、押さえつけるスタイルより時間はかかりますが、失敗しないことが最優先なので問題に感じません。

細かいバリエーションとしては、皮にフォークで穴をあけておいたり、身の部分はラップして皮だけを冷蔵庫で乾燥させたりする方法もあります(いずれも先に紹介した動画内で紹介)。個人的には、そこまで手間をかけなくても満足できるレベルでバリッと焼けるので、皮の表面の水分を拭き取ることだけ意識しています。

フライパンに敷く油の量も、皮に油がしっかりついていればさほど多くなくて良さそうです。押さえつけて焼く場合は、皮とフライパンの間に油がまわるよう多めに入れるみたいですね(いずれも先に紹介した動画内で紹介)。

身の面の火の入れ方

皮目を10分以上かけて焼くと身の方もある程度火が入っていくので、油をスプーンですくってかけながら火を入れる手法(アロゼ)が、先に紹介した動画では使われています。僕も同じようにやってみたのですが、けっこう油がハネて手に飛んだりして嫌なので(不器用)、他のやり方がないか探していました。

そこで見つけたのが、ジョージさんの動画「【カリカリッ】超簡単!鶏肉の皮をパリッと焼く方法<プロの絶品チキンソテー」(3:00)で紹介している、アルミホイルをかぶせて余熱で火を通す方法です。これなら火傷の心配もないし、何より放置で楽です。

余熱のみなので火が入るかどうか不安な部分もあったのですが、10数回やっていて生焼けだったことはありませんでした。ちょっと厚めの肉であれば、皮目の焼き具合を確認する際に、ひっくり返して少し身を焼いてから戻す、アルミホイルをかぶせる前に少し焼く、といったことで調整しても良さそうです。

ソースはなくても美味しい

余分な脂が抜けて、しっとり軽く仕上がっているので、特にソースなどは用意しなくても美味しくいただけます。下処理の段階で塩を強めに振ったり、ニンニクを擦り付けておいたり、最後にこしょうをかけるのもアリかもしれません。

ソースを挙げるなら、笠原将弘「鶏むね、鶏もも、俺に任せろ!」で紹介されている、しょうゆ・みりん・酢・大根おろしを1:1:2:2で合わせるつけだれが、さっぱりしていておすすめです。

何より勉強になりました

今回の調査と実践で、調理工程が整理され余裕が生まれ、肉の状態を観察しやすくなり、うまくいったとき・いかなかったときの原因の推測もしやすくなりました。グルメではないので、ここからアレンジ料理に手を出すぞ!なんて気持ちはありませんが、この料理だけは確実に一定以上のクォリティで作れる、というのはよいですね(そういうのが数えるほどしかないですが)。

この手順だと、状況に応じて調整するような工程がほとんどないので、初心者でも不器用でも高い確率でうまく作れるんじゃないかと思います。そういう手順に整理できたというのも、けっこう嬉しいことなんですよね。