TalkNote Vol.4 で改めて感じた、数字の先にあるもの
- 2012年05月02日
連休初日は「TalkNote Vol.4」に参加しに静岡に行きました。黒はんぺんフライは絶品でした。おしまい。
・・・という感じの記事でみなさま(誰)の期待(何)をスルーするのもアレなので、つらつらと思ったことなどを書きます。
今回はアクセス解析がテーマでした。前半のセッションでは江尻俊章さんが理論というか教科書的な解説をし、後半のセッションでは森野誠之さんがGoogle Analyticsを絡めて現場的・実際的なアドバイスをする、という構成でした。どちらのお話も「何に着目して分析するか」や「アクセス解析で改善できることの限界をきちんとふまえる」といった考え方の部分は同じだったのですが、前半の江尻さんの話が専門用語(といっても基礎的なものですが)をどんどん使っていくスタイルだったため、言葉の意味をよく知らない参加者(僕の席の周りはそんな感じだった)はちょっと置き去りにされてるかも?な様子でした。純粋に参加者として聴いているのに、自分のことより周囲の反応が気にかかってしまうワタシ。このままじゃマズいかもなーと思っていたら、司会の勝又さんが途中で質問する形でうまくサポートしたり、続く後半のさん森野のセッションが一転して具体的で現場的な例を挙げていくスタイルだったりで、全体としてはバランスの取れたものになっていたと思います。
以前にも言及しましたが、Web制作に関わる人って「数字を適切に理解し活用している人」と「なんとなく苦手意識があって避けて通っている人」とに二極化している印象があるんですよね。僕は自分では「両者のあいだ」にいると思っているし、この日の会場からの質問は、その間のレベルの人から出ていたような印象を受けましたが、そういう人たちがステップアップしていくリソースはまだ十分でないと感じるところもあります。
でもそれ以上に問題なのは「数字というだけで食わず嫌い」という層の人たちが圧倒的に多いことで、専門用語を表面的にしか理解していないために適切な施策が打てない、クライアントと(効果測定の文脈で)コミュニケーションが取れない、結果としてWeb業界全体の(クライアントからの)信頼を上げられない、という流れになっているように思います。
Webの改善策だけではクライアントの売上もそうは上がらないし、アクセス解析の業務だけで制作側に十分な収益がもたらされるわけでもない。そういったことは講師のお二人も話されていましたが、そのことをして「だから学んだり実践したりすることを後回しにする」のではなく、いまや当たり前にビジネスの道具のひとつとして使われるWebの制作に携わる者として「基礎として十分に理解して、種々の取り組みに活かしていく」ことが大切なんだと思います。
言葉が難しいとか、数字はとっつきにくいとか、そういう思いで「だから面白くないだろう」と決めつけてしまうのはもったいない。言葉は、その手の本を読むのに必要なだけで、その意味を理解することを先に押さえていけば、べつに小難しい専門用語を好きになる必要もないし、クライアントに対して使う必要もないでしょう。バズワードとして連呼するだけの変な理論や「専門家」から自分の(そしてクライアントの)身を守るためにもね。それに数字だって、ちょっと慣れてしまえば視野が広がって面白いですよ。僕も飲食店経営の授業を担当するまでは、数字には何となく苦手感もありました。でも別に得意にならなくとも、変な恐れをなくすだけで、不思議と自分の引き出しが格段に増えたような気持ちになるものです。
大事なことは、クライアントのビジネスをどうサポートしていくか。数字はそのための一要素に過ぎないと思います。そういうことを再認識させてくれたセミナーに感謝!ということで、僕からはあえてアクセス解析ズバリではない、でも同じ領域にあるオススメの本を挙げておきます。
前者は5年前の本なので入手は難しいでしょうが、内容としては今も古びていませんし、こういう切り口での類書はその後あまり出ていないだけに、読む価値はあると思います。いまだに僕の部屋の本棚の最前列に置かれています(笑)。
後者はこの春に出た本。僕はこれの元になったセミナー(これもTalkNoteなのですが)に参加しているのですが、専門用語に振り回されず地に足をつけて考える第一歩として読めばいいんじゃないかと思います。
んー、もっとこういう本が普通にみんなに読まれるようになると、Web制作者の基礎レベルも上がって、よくわからない不幸な事例も世の中から減るんじゃないかなと思うんですけどね。目指すべきはこのラインじゃなくて、それぞれがここから先をどう創意工夫してチャレンジしていくか、だと思いますし。