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電車では通路に体育座りだろJK

お昼に地下鉄に乗っていたら、遠足帰りと思われる幼稚園児の集団が先生に連れられて乗り込んできました。車内はさほど込んではいないものの、座席は埋まっていて何人かは立っている状況。園児は先生の指示で通路に2列に並び、一斉に体育座りをしました。通路に。

・・・ええ!

座席の僕たちの足下を埋め尽くす、体育座りの園児たち。みんな話をすることもなく静かにしています。腕で膝を包み込む体育座りは、安定感のある姿勢ではありません。しかも大きなかばんを背負っているので重心は後ろに行きがち。車両が揺れるたび、園児は左右にふらつきます。素手を床について体を支えざるをえません。

次の駅に着きました。園児は降りないので通路に座ったまま。降りようと座席を立ったお客さんは、園児の隙間をこじ開けて進むことに。おまけに園児も気を遣って、半身でよけようとしたり移動しようとしたりしますから、さらに大変。誤って顔に蹴りでも入れてしまわないか、乗客はヒヤヒヤの繰り返し。

集団行動を覚えさせること、他の人の邪魔にならないようにすること。今回の体育座りには、そんな目的があったのでしょう。思い返せば僕自身も、集合場所では体育座りで待機が基本、駅のホームくらいなら座らされた記憶があるような。

でも、電車の車内に座り込むのは、いかにお行儀よく座っていたとしても、一般的にはマナーとしてよろしくないとされてるんじゃないでしょうか。車内では、座席に座るか、通路に立つか。今後変わって行くかもしれないにしても、園児が「電車では行儀よく通路に座る」というルールを日常で真面目に実践するようになると、それはそれで問題なんじゃないかと。それに、汚い床を手のひらで触らざるをえず、立っている大人たちに蹴られる危険性を考えても、通路に座るのは疑問が残ります。

教育のためのローカルルールというのは、別に珍しいことではありません。子どもだけでなく大人相手にも設定したりします。でも、これはローカルルールだと受け手が認識している状態でないなら、あまりに「社会の普通」とかけ離れたローカルルールは避けるほうがいいと僕は考えています。

よく「学校ではいいけど、社会ではそれはダメだよ」というのを聞きますが、それの多用ってよろしくないのではと思うのです。だって学校も社会の一部、社会とつながっているわけです。学校なら「安全に失敗できる」というのは良いと思うのですが、学校でしか通じない実践を、学校内ならまだしも学校外でもやる必要があるのか、と思ってしまうのです。

結局終点まで乗っていた僕と園児たち。席が空き出すと、園児は先生に脇を抱えられて一人ずつ席に座らされていました。先の驚きのせいでバイアスがかかって見えたのかもしれませんが、園児が次々先生に移動させられる姿は、何か席に荷物を置くような動きにも見えました。通路に座るか、座席に座るか。通路に立つという選択肢を極力避けているように見えたので、今の子どもは足腰が弱くて立たせられないのかもしれません。

なんか、どうオチをつけていいのかわからない、不思議な15分間でした。