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デザインには正解がない

デザインのいちばん面白いところは「正解がないところ」ではないでしょうか。

Web制作にしたって、理想とすべき作り方はあるかもしれないけれど、技術仕様に問題があったり、ブラウザのサポートが悪かったり、ツールが十分用意されていなかったり、制作側の知識やスキルや人手が足りなかったり、予算や時間が足りなかったり、クライアントの理解や協力がなかったり、サービスやプロダクト自体に問題が山積していたり、なんで?っていうほど不運が重なったりすることって、よくあります。

そんななかでも、決してヤケになって投げ出したりせず、あるいは理想に固執して手を止めたりもせず、辛抱強く取り組んでいくこと。何かを選び、何かを捨てる、その判断を主体的に積み重ねてバランスを取ること。それがデザインだし、デザイナーのすべき仕事だと思うのです。決して、誰かエライ人の言葉をそのまま実行するロボットになってはいけない。最終的に何をするのか決めるのはデザイナーです。

正解がない仕事をするということは、オレオレ基準で好きにやって良いということではないし、その責任を取らなくて良いということでもありません。自分が選んだこと、あるいは捨てたことによって、クライアントやユーザーを喜ばせたり悲しませたりもします。だからこそ、ひとつひとつの判断がもたらす結果を、デザイナーはできるかぎり想像しなければならない。技術に対する深い知識や、置かれている状況の適切な理解は、その判断の質を上げるために必要なことであり、デザイナーが磨くべきスキルでしょう。

デザインは正解がない仕事だからこそ、何も知らない人がその成果を叩きやすいとも言えます。デザイナーは、諸事情や諸条件をよく理解しているからこそ、より深く悩んでデザインしなければならなかったりもします。でもデザイナーってそういうもの。ストレスを引き受けつつも、最終的に何をするのか決められるのがデザイナーです。

正解がないからこそ、自分なりに判断して、自分なりにバランスを取ればいい。もちろん、そのための準備は怠らずに。そして、そうして生み出した成果物には胸を張ればいい。デザインの状況や文脈が同じでないことも、それがどんどん変わっていくことも、それは一見不安要素のようでいて、むしろデザイナーの主体的な判断を後押しするものじゃないでしょうか。

デザインには正解がないから、その解はあなたが決められる。それは幸せなことです。だからガンガレ。超ガンガレ。