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第20回リクリセミナー「Webディレクターの頭の中」の後に続くもの

週末は、第20回リクリセミナー「Webディレクターの頭の中」に参加してきました。リクリことRe:Creator's Kansaiのイベントの20回記念ということもあり、東から西から豪華登壇者(&参加者)が集結しての、とても充実したイベントでした。

その内容については、でぐちさんのブログ記事「第20回リクリセミナー『Webディレクターの頭の中』 に参加してきました。|ふにろぐ」を読んでいただき、あとTwitterのハッシュタグ「#resem20」を眺めていただくとして、僕は例のごとく感想とかそのへんを。

今回特に印象的だったのが、各セッションの内容に(個々人の特徴を出しながらも)共通の要素があって、相互に補完しあう形で全体の質を高めていた、ということです。聞けば、特に事前にしっかりとした打ち合わせをしたわけではなく、直前の準備などで自然と、前後の発表者の内容を受ける形になったとのこと。登壇者全員が話す内容もプレゼンスキルもしっかりしていたので、そういうベースがあってこその結果なのでしょう。そして、広い意味での「ディレクション」という(ユーザーやクライアントや同業者や同僚に対する)コミュニケーションにおける芯の部分は、現場の事情や役割の違う人たちであっても共通することが多いからなんだろうな、とも思いました。

ディレクションを学ぶというのは、少なくともビジュアルやコードに関する学びの方法ほどには、これといった王道のやり方がありません。Tipsを知れば解決する、というものでもないからです。よく「良い上司の下で働きながら学ぶ」とも言われますが、これもその中身は抽象的な要素が多く、わからない人にはわからないものでしょう。

  1. 自身が当事者として経験したこと
  2. 書籍などで得た一般的で体系的な知識
  3. 誰かが経験したケースとして見聞きしたこと

少なくとも、上記のような要素が学びには必要なのではないか、と僕は思っています。1や2については、ディレクションで苦労している人が自然と通る道でしょうが、3については他者が必要なぶん、なかなか難しいです。カッコイイ成功事例の表面的な話ならば見つけるのは簡単ですが、必要なのはもっと現場に即した、小さくて個別的で思想的で具体的な、ときに失敗を含む事例です。

そういう話は、あまり他人にペラペラとしゃべれない内容を含んでいますし、自分の評価を下げてしまう恐れもあります。だから(話をどう受け取られるかわからない)不特定多数に向けて話すこと自体、なかなか勇気のいることだと思うのですが、今回のイベントでは登壇者が自身の経験をしっかりと伝えてくれました。それは本当に素晴らしいことだと思います。

こうしたインプットを得た次のステップは、実践していくこと、自分と自分の現場を改善していくことなのですが、これも「できる人はできる、できない人はできない」系のことだと思っています。良質な話を聞いて気持ちは高まったけど、1年後も結局あんまり変わらない日常のまま、というのでは業界全体も成長していきません。それは登壇者や主催者にとっても残念なことですが、この10年、そんなループが多くの現場で続いている印象もあります。

じゃあどうすればいいの?という問いに対して思うのは、「他者の力を借りてインプットしたのだから、実践の継続にも他者の力を借りると良いのではないか」ということです。受動的に情報を得る立場から、能動的に実践する立場へ移行する・・そんな急激な切り替えは誰しも難しいので、実践したことをシェアしては知恵をもらう、他者の実践について考えることでインプットも継続する、という感じ。これを定期的に長期間続ける。セミナー形式のような形では無理なので、信頼できる少人数のコミュニティで話し合うような形が適しているでしょう。社内でそれができる環境があればよいですが、小規模事業者の多いWeb制作者では、社外に求める場合が多くなる気がします(それはそれで難しい面も多いですが)。

セミナーのような堅苦しい場でもなく、居酒屋談義のようなカジュアルすぎる場でもなく、互いに配慮と敬意を持って知見をシェアするような場。すでに個人で自然とやっている人や、組織としての取り組みもあるにはあるようですが、いわゆる学校教育で多くの人が体験してきたような学び方とは違うからか、必要なほどには実践されていない感じがします。

まぁ、ここまで書いてて「お前、その話するの何回目だよ」って感じがしてきたので、もうここらへんでやめておきますが(笑)、新しくそういう取り組みをしてみたいと思う人、もっと出てこないかなと思うのです。