プロジェクトをデザインするということ
- 2011年04月26日
とにかく売れてしまえば後はどうでもいい、技術を買ってくれればそれでいい・・というような商売をしているならともかく、普通は、自分が制作を手がけたサイトは繁盛してほしいし、良いサイトとして評判になってほしいとWeb制作者は思うものですよね。
質の高いサイトには、質の高い企画(アイディア)と、質の高いコンテンツと、質の高い運営(検証と改善のサイクル)が必要で、これらはクライアントの積極的な協力なしには手に入りません。でも実際は、クライアントが最初からそうした「質の高い何か」を準備万端にしてくれていることは極めて稀です。制作者がクライアントに働きかけて、価値の原石を磨いて光らせていかなければなりません。ユーザーを理解すること、自分たちの価値を見つめ直すこと、知識を得ること、状況を理解していくこと、話し合いのベースを作っていくこと・・・そうやってクライアントにバージョンアップしてもらうことが不可欠です。まずは担当者や依頼主本人に、次にグループに、部署に、そして会社全体へと波及させていくのが理想です。
そのときにキーのひとつが「評価」だと僕は思ってます。個々のタスクをどう評価するか、プロジェクトの仲間をどう評価するか、働き方やコミュニケーションをどう評価するか、プロジェクト自体の評価を内部はもちろん外部がどう評価するか、などなど。適切な評価はやる気を生み、資金を生み、信頼を生み、プロジェクト全体を前に進める力があります。逆に評価でつまずくと、誰かにとってそれがいかに大切なプロジェクトであっても、足並みは揃わず、いざこざが増え、おかしな方向に傾いていってしまいます。プロジェクトは気持ちや瞬発力だけでは続かないので、仕組みをどう作っていくかは大切です。例えば、Facebookの「いいね!」ボタンなどは、その好例ではないかと思います。
こういう働きかけをクライアントに行うのは、会社であればディレクターやプロデューサーなどになるのかもしれませんが、フリーランスである僕は自分でやるしかありません。それはWebデザイナーの仕事なのか?と思う人もいるかもしれません。でも、サイトが高く評価されて内外に知れ渡って、その制作者のひとりである自分にもいつか評価が向けば、また新しい仕事を依頼されるかもしれないわけですよ。そこを期待しつつ取り組んでいるので、この役回りは不可欠なのです。
こういう仕事ってなんて言うんでしょうね。デザインの範疇だと思うんですが、もう少しピンポイントで定義したい。個人的には、これやってる人って「プロジェクトデザイナー」だよね、と思ってるんですが、まだ自分の中で未消化な部分があるので、名刺には書いていません(笑)。