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声も姿も知りません – オンライン授業雑感1

このままだと前回のが2020年最後の記事になって微妙な感じ(何が)なので、オンライン授業の振り返りについて書いていく。たぶん何回かに分けて。

今年の前期はすべての授業でオンライン形式、後期は半分が対面形式だったが、一年を通じて授業スタイルは変えなかった。そのスタイルとは「教師の話は基本的に全部オンライン文書にして配布する」である。Zoomなどを使ったビデオ会議も、動画のオンデマンド配信もしない。Googleドキュメントに必要なことは全部書いて、あとは受講生に任せるという形。

もちろん、昨年度まで授業時に見せていたスライドや、いわゆるレジュメのような資料では、情報量が足りなさすぎて授業にならない。授業中に自分が話すことをすべて文字化する勢いで、でも冗長にならないように細心の注意を払って、授業ごとに入門書を書き下ろすようなつもりで文書を作った。

また、リアルタイムでの質問対応ができるようDiscordを導入した。Discordはテキストチャットをメインに使い、必要に応じてボイスチャットや画面共有、あるいはライブ配信の準備はしていた。ただ実際は、テキストチャット以外はほぼ使うことがなく、特に前期は「受講生も担当教師も、お互いの顔や声が分からないまま全日程を終了する」という進研ゼミ的な進行となった。

こういう授業形式にした理由はいろいろあって(別記事で書く予定)、自分なりにベストだと思って始めたものの、うまくいかなければ他のやり方(Zoomを使って通常授業の配信っぽくやるとか)に方向転換することも考えてはいた。ただ、いざ始まってからは、やり方自体を試行錯誤することはあまりなく、受講生の反応も(観測の範囲では)そう悪くなく、提出物等からうかがえる「授業内容に対する受講生の理解度」も例年並みかそれ以上に感じた。

受講生のコメントで目立った、かつ個人的に意外だったのが「周囲を気にせず落ち着いて自分のペースでできるから良い」というものだった。確かに一人で資料を読むのが基本で、タイムラインが多少ざわつく程度。そんな周囲が気になるものなのかな・・と思ったが、他の授業で使っているであろうZoomはタイル状に顔が並ぶので、あれはプレッシャーになるのかもしれない。それに比べてこっちは、コーヒー飲みながら、好きな音楽ガンガンかけながら受講できるしなぁ、学習者も教師も。

後期は担当授業の半分が対面形式になって、昨年度のような形でやることも可能ではあったけど、またいつ急遽オンライン授業になるかわからないので、Discordも授業内容の文書化も継続した(さすがに教室ではDiscordの出番はほぼなく、主に時間外メッセージや記録用途になったが)。授業で話すことは文書化して配布しているので、僕は教室でほとんど口を開かなくていい。手持ち無沙汰感を超越すると、受講生の個別対応に十分に時間が取れるメリットや、普段はダラダラ話しすぎで逆効果なんだなぁということが見えてきた。来年度もこのスタイルを軸にやっていこうかな、という気になっている。