メモ:飲食店経営におけるネットの口コミとの向き合い方
- 2011年11月01日
今日の講義メモ。
飲食店の口コミがなされるネットのメディアには、いくつか種類があると思います。とりあえず3つ挙げます。
ひとつはブログ。ブログは、記事を書いている人に対する信頼感が、記事の情報の信頼感に直結します。特に芸能人やシェフやグルメな人が評価した店なら、行ってみたいと思う人は一般的に多いだろうと想像できます。あるいは、有名人じゃなくても自分が日頃読んでるブログの人なら、信頼感は高いはず。でも、自分が全然知らないブログの記事を1つ読んだくらいでは、なかなか心動かされないかなぁと思います。
二つ目はレビュー系のサイト。食べログが有名ですが、あれは記事の書き手は自分が全然知らない人というのがほとんどのはず。でもお店選びの参考にする人は多い。ブログの場合は書き手への信頼感が重要としたのに、なぜ食べログの場合は無名の人による情報でオッケーなのか。理由はたぶんいろいろあって、レビューの質はいろいろだということは承知しつつも、いくつかのレビューを見ながら総合的に判断できるとか、そもそもその店の情報が他にないから参考にするしかないとか、信頼度を確かめるコストを考えればそれで手を打とうとか、そのへんじゃないでしょうか。
三つ目はFacebookとかmixiとかTwitter。これは、上の2つが不特定多数に向けて書かれる性格なのに対して、自分の友達に向けて発信する系のメディア。例えばFacebookで、友達に向けて公開する設定にして投稿するとか。Twitterのツイートは誰もが見られるんですけど、フォローの仕組みによって何となく知り合いに向けて話してる感覚があるので、ここに入れています。これからの口コミを考えるなら、この三つ目が重要じゃないかと思っています。以下、その理由です。
まず、ブログやレビューは書くのに気合いがいるけど、Twitterにポストするのは気軽にできるということ。携帯のカメラで撮った写真とコメントを添えるだけで基本はOK。4sqみたいなGPS機能を使ったチェックインサービスを併用すれば、お店の名前や場所まで付加してくれるからラクチン。負担が軽いのは口コミするうえで重要。
次に、知り合いからの情報だから、レビュー記事に比べて断片的であっても興味が湧きやすい。リアルタイムに臨場感たっぷりの写真が流れてきたら、リックをクリックして店をチェックしたくなるもの。いまお店を探していなくても、これは今度行こう!と思うこともあるはず。
加えて、今後スマートフォンが普及し、いろんなサービスが出てくることを考えると、こういう手軽な情報のシェアをする人は減ることはなさそうだということ。だから飲食店の経営者は、世の中の動きを見つつ、できればこういうサービスを自分も体感して、お客さんの消費行動を理解するように努めてほしいと思うわけです。
もうひとつ大切なことは、口コミはコントロールできないということ。内容も統制できないし、無理矢理起こしたり、広がっていくのを止めるのも無理。だから「口コミの恩恵を受けたい!」と願っているだけではダメ。
口コミの恩恵を受けるには、まず口コミそのものが起こらないとダメなので、口コミしたくなるようなお店にすること、お客さんの心に響くようなお店にすることが一番大事。当たり前だけど。で、そのうえで「こんな料理が!」ってその場でツイートできるよう電波の入る店にする(あるいはWiFiを用意する)とか、チェックインサービスに店を登録しておくとか、店を検索されたときに情報が伝えられるよう店舗のサイトをしっかり作っておくとか、そういう支援をきちんとやっておくのも大切になると思います。
また、トラブルが起きたり変な噂が流れたときに、店の公式見解をきちんとネット上に示せるよう、お店のサイトは持っていた方がいいと思います。いまはホームページはWebサービスを使って簡単に作れる時代ですし。併用してTwitterやFacebookを使って積極的に情報発信するのもいいですが、その場合は普段からアカウントを活用すること。店長や社長のアカウントでやるなら、お店の宣伝ばかりをポストするんじゃなく、人柄や考え方なんかを伝えるために使う方が(特に小さなお店では)いいんじゃないかと思ってます。
ネットを好きにならなくてもいいし、自分はあまり使わないという方針でも構いません。ただ、お客さんはネットをどう捉えているのかを理解しないと、お客さんのことを考えた経営はできません。自分の都合だけで判断しちゃいけない。だから頭を固くしないで、何事も一度やってみてほしいと思うのです。