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起業家とデザイナー

思うところがあったのでピックアップ。

Think Simply Deeply: スタートアップが今一番欲しい人は「デザイナー」という話

一般に、デザインを語ることを難しくしているのが、デザインとは何を指し、デザイナーという職業(役割)名とは何を意味するのかが、それこそ人によって様々であるということ。だから面倒でも、言葉の解釈を丁寧に押さえていかなきゃいけないと思うんですよね。でもこの記事はそこがうまくいってないうえに、さらに「プロダクトデザイナー」のような新しい(とは僕は思わないけど)言葉を定義したりして、余計にややこしい感じにしてしまってるのが残念なところ。

ま、それはいつもの話なので置いておいて、記事の内容に違和感を感じたのは「『ビジョン』を『要素』にまで落とし込む・・・という今まで起業家がやっていたようなことをする」のがこれからのデザイナーの役割だ、という説明のところ。記事の作者の主張じゃなく、そういう世の流れになっていると聞いた、という話なんですけどね。

実際僕も、規模は小さいですけど「目的から方法を考え、方法に必要な要素を洗い出し、要素の実現への手助けをする」ということは、クライアントに対してやっているつもりです。そういうのもデザインの枠組みに含まれるという認識ではあります。

ただ「ビジョンを目的のレベルまで分解する」という部分は、さすがにクライアントにお願いしているというか、仕事の依頼時点で少なくともそこは詰めてもらってるというのが僕の認識です。だってそのレベルから考えるのって、もうクライアント同然じゃん、という。

だから、今まで起業家がやっていたことをやる、というのなら、起業家って何する人たちなのよ?全然具現化できない人たちの「ビジョン」って何なの?ということ。思いつきを語ってお金を集めてくる人のことなんですかね。それに、そんなハイレベルのデザインができる人なら自分で起業できるわけで、そんな人たちが雇われデザイナーで収まるものかなぁとも思います。

シリコンバレーの事情はよくわかりませんけど、この記事で語られているようなハイレベルなデザイナーは、自分たちで新しいサービスをどんどん世に出していったらいいんじゃないかと思います。自分たちをデザイナーと呼ぶのか、起業家と呼ぶのかは別にしてね。

で、デザイナーの誰もがそういう人たちだとは正直思わないというか、選ばれし者は選ばれし者だと思うので(笑)、ビジョンを具現化するための戦力としてチョイスされるような、そんなデザイナーになるよう頑張ればいいんじゃないのかなぁ。