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かわいらしさとプレゼンテーション

かわいらしさって大事だなぁ、とつくづく思います。

いや、女の子の好みの話をしてるんじゃなくてですね、ビジネスの場面でも、日常の何気な交渉事でも、かわいらしさというか、かわいげというか、そういうものがあるのとないのとでは印象がずいぶん違う、と思うのです。別に女性であっても男性であってもね。

僕はプレゼンテーションの場でも、この「かわいげ」がキーポイントになると思っています。プレゼンテーションは中身が大事、スライドや話し方も大事、という前提はもちろんなのですが、何かまったく「かわいげ」がないようだと、全部が台無しになってしまうこともある気がします。

例えば、そのプレゼンテーションが、何か聴衆の知恵を借りたいとか、協力者を募るとか、アドバイスがほしいという目的である場合を考えてください。そこでのプレゼンテーションの内容が聴衆に適切に伝わることはもちろん重要ですが、プレゼンテーション後に「この発表者に協力してあげたい」という気持ちが起きることがさらに重要だと思うのです。意見1つ言うのも手間ですし、終わった後に名刺交換などしに行くのはさらに面倒。それをわかっていても、この人に何か価値を提供しよう、という気持ちを起こさせないといけません。

逆に言えば「内容はよくわかったけど共感できない」とか「言ってることは正しいがどうもいけ好かない」と思われると、質問タイムでまったく質問が出ない、あるいは揚げ足を取るような質問ばかりになってしまう気がします。もっとも、どんな内容であれ揚げ足を取りたがる人というのはいますが、聴衆の大部分が協力ムードであれば、そんな質問者は浮いてしまい無視されることになり、別の人から好意的な意見が出ることでしょう。

昨日で僕も30代に突入し、学会発表しても若いと言われる年齢ではもはやなくなりましたが(笑)若い人の発表は内容にも方法にも経験不足からくる拙さが見え隠れしたりします。そんな場合に、変に虚勢を張ったプレゼンテーションをすると「なに意気がってんだコイツ」と反感を買うことになりかねません。謙虚に正直に「わからないことはあるけどこれから頑張るんで応援してください」というスタンスで臨む方が、聴き手の協力を得やすいんじゃないでしょうか。もちろん、絶対に落とせない商談なんかでは、こんな弱腰で臨むと信頼感がなくなるのでダメだとは思いますが、多くのプレゼンテーションの場では当てはまるんではないかと。

僕はプレゼンテーションの話をする時に「説得」という言葉より「納得」とか「共感」という言葉を好んで使います。それは、誰かに理屈で説き伏せられるより、自分で納得したり感情を動かされたりする方が、その後の行動に良い形でつながると思うからです。この「かわいげ」というのも、共感につながる要素ではないかと思います。

個人名を挙げるとただのファンレターになってしまうので挙げませんが、僕が見聞きしたプレゼンテーションのいくつかは、そういう「かわいらしさ」が好印象に影響しているんじゃないかと思いました。若さや立場に関係なく。偉そうな雰囲気を醸し出して説得力を増幅させるというアプローチもありますが、かわいらしさを出して共感を誘うというのも立派なアプローチじゃないでしょうか。

かわいい人は見ていて心が和むものです(オチはそれか)。