JLEMで発表してきました
- 2010年03月31日
JLEM(日本語教育方法研究会)@東京農工大 に参加して発表してきました。年度末死屍累々月間(謎)に二泊三日という無茶スケジュールを組んだのですが、いろんな方とお話することができて充実した時間が過ごせたと思います。みなさんどうもありがとうございました。
僕の発表の趣旨は、単に「e-Learningは素晴らしい」というのではなく「e-Learningの食わず嫌いはもったいない」ということ。学習の選択肢のひとつとするため、ITに慣れるためにも、教師も小さなことから試していってみましょうよ、という呼びかけでした。これをきっかけに、一人でも多くの人がチャレンジしてみて、そしてその結果を周りに伝えることをしてもらえれば、日本語教育界の様子も変わっていくのではないかと思っています。
今回他の発表者の話を聞いていて思ったのが「先端的な試みは研究費が付きやすく研究成果として評価されるが、そのものの使い勝手は未成熟で現場では使われない」ということ。逆に言うと「使い勝手を成熟させるためのプロセスや実際の運用が現場には重要だが、それに予算はつきにくく研究としても評価されない」ということなんです。サイトの開発に予算は付くが運営には付かないのと同じ。これではいつまでたってもe-Learningは大多数の人にとって遠いままなんですよね。
ただ、明るい材料もあって、それはここ数年で無料かつ素人でも使えるWebサービスが質も量も充実してきた、ということです。ツール系の小さなものから、SNSやグループウェアのような比較的大きなものまで。だから、みんなでこれらを積極的に活用して、理解を深めてもらいたいと思いのです。その経験は、大きなプロジェクトを考える際の基礎体力になりますからね。
もっとも「いろんなツールがあるから使ってね」という紹介だけでは、忙しくて苦手意識の強い教師にはインパクトが弱くて、実際に使うまでには至らないようです。現場での活用事例などを見せながら「これはワクワクするな、一度チャレンジしてみよう」と、活用時のイメージを描いてもらえる状態に持っていかないといけない。そのために、あらゆるチャネルを使っていくことが必要そうです。セミナーやワークショップ、サイトだけでなく書籍も視野に入れ、わかりやすく魅力的な提案を行っていかないといけない。
それにプラスして、僕は特にインターネットがもたらす、教育観のパラダイムシフトにも重要な側面だと思ってるんですよね。アナログをデジタルにすることでこんなに便利に、というのももちろん1つの魅力です。でもインターネットを使うことで、教科書的な知識をただ伝達するだけの授業から、渾沌としたリアルなものに学習者が主体となって接することで学んでいく授業へ、授業の性質を変えることもできる。これは教師の教育観・学習者の学習観をひっくり返すことにもなるので、痛みも伴うものです。でもそれだけの価値があると僕は思うんですよね。そのことも併せて伝えていければと思っています。
僕、たぶん「単に」わかりやすく伝えるというのだけでは嫌なんだと思います。わかりやすく伝えるのは前提。そこをクリアしたうえで、考え方というか、視点の提供みたいなことをやりたい。というかそれが本題です。別に自分の言うことが絶対的に正しいとかいうわけじゃなく、こういうのもアリだよねーって常に提示してたい。いろんなもののバランスの具合で、物事の色が多様になっていくものだと思うので。
いろんな方から今回励まされたので、思うだけじゃなく、少しでも形にしていきたいと思っています。もし何か僕に協力できそうなことをお持ちの方は、ぜひご連絡くださいませー。