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ソフトは設計思想を意識して教えてるのだけど

パソコンのソフト(AdobeとかOfficeとか)を扱う授業を担当して10年くらいになる。年度や学期の始めにシラバス(何をどこまで教えるのか)を考えるのだけど、そのときにソフトの設計思想のようなものを改めて考えることが多い。

たとえばExcelであれば、Excelってどんなソフトなのか、Excelらしい機能や操作って何か、ということを考える。そして、その設計思想が強く出ている部分、ソフトのコアになるようなものを扱うようにするし、学習者にはそこを意識してもらえるように教えている。

もちろん、機能は基本的なものなのか、操作や手順は複雑すぎないか、必要とされる知識はどの程度複合的なのか、学習者の関心に沿っているか、将来的に役に立ちそうなものなのか、教科書ではどう解説されてるか、みたいなことも考えている。そのうえで、という話。

授業で使える時間は限られている。たとえ授業で取り上げなかった機能であっても、後になって学習者が自分で調べて、それで使えるようなら理想的。ならば、自分で調べられるところまで持っていきたい。そのためのベースになるような知識、理解となると、やっぱりソフトの設計思想的なところを押さえるのがいいのではないかと思っている。学習者に「Illustratorって、こういう感じのソフトなんだな」というような感覚を持ってもらいたい。インターフェースのメンタルモデル的なところも含めて。

ただ、ソフトの設計思想に必ずしも合ってないような機能とか、一貫性のないインターフェースとかが、多機能なソフトだとちらほら見つかる。これはイレギュラーなパターンで説明しにくいな、学習者はたぶん混乱するだろうな、でも機能的には重要だから取り上げたいんだよな・・などと困らされる。これだから**はクソなんだよなー、などとソフトに文句を言いつつ教案を書くことも多い。

なので、つい講師の同僚に「Wordのあの機能の設定手順は不親切ですよね。なんでデフォルトがあんな変な値なのか謎ですよね」などと話を振ったりしてしまうのだけど、たいてい驚かれる。そんなこと考えたことないよ、だってデザイナーでもエンジニアでもないし、と。

そうか、そうなのか。わりとフツーだと思ってたけど、そうでもないのか。