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学生よ、名刺を持て。Twitterを始めよ。

*2009.10.31 最下部に追記しました。

ざらついた不透明感のある素材に、色つきの正方形、中央には短いメッセージ。ここ数年の僕の名刺はそんなデザインです。名刺ごとに正方形の色とメッセージが違っていて、全部で10パターンあります。自分のテーマカラーは持たず、あなたとの仕事に合わせて自分の役割を変えていきますよ、僕はこういう考えで仕事をしてますよ、というのが名刺に込めた僕のメッセージです。

この名刺にはもう1つ狙いがあります。色やメッセージにバリエーションがあると、それだけで珍しがられることが多いし、受け取った人同士で名刺を見比べてもらえたりすることがある、という点です。一瞬であっても場の注目を集めることができるし、後で思い出してもらいやすくもなる。色やメッセージについて質問してくれたりすると、自然に話を始めることができるというわけです。

僕は、パーティーの場で人に話しかけるのが得意ではありません。勢いや軽い話題でスッと輪に入っていくことができません。おまけに、場がWeb制作者の集まりであればまだいいのですが、これが情報教育や日本語教育の学会だと、Webディレクターという職務内容から説明しなければならず、ある程度の時間と聞く意識を持ってもらわなければなりません。なので「まず相手に興味を持ってもらう」ツールとして名刺を準備しています。

ビジネスの場での名刺交換は、本田直之さんの「レバレッジ人脈術」にもあったのですが、「自分の持っている価値をあなたに提供する」という意志表明の役割があると思うので、名刺に自分の価値を記しておくことが大切だと思っています。私はこんなことが得意ですーということをね。

これと逆の場というのも僕はよく経験していて、それは毎年夏に参加しているPCカンファレンスという情報教育の研究大会です。参加者は学校の先生が大半なのですが、中には大学生もいるんですよね。大学生協で学生向けPC講習会を企画している人たちなのですが、彼らは若いけどしっかりした教育的考えを持っている人が多くて、話をしていて面白い。僕自身の発表も、大学の先生より大学生の方がずっとウケがいいんですよね。だからカンファレンス期間中は、エライ先生より学生のそばにいることが多いのですが(笑)、彼らの大半が名刺を持っていない。それはすごくもったいないなーと思うわけです。

僕がここでいう名刺は「**大学@@学科」という面白くもないものじゃなくて、もう少しプライベートな要素が入ったもの。自分の興味があることや、普段の活動のキーワードを、名前の横にちょっと書いておくといいと思うんです。そしたら、名刺を渡したときにそこを質問されるかもしれませんよね。

カンファレンスに出席している人は、テーマに何らかの関心や関わりがあるわけですよね。その意味では学生も大学教授も同じ。共通の話題は必ず見つかるはずです。少なくとも、僕は自分自身が非常にレアな身分の人として参加してることもあって(笑)、相手が学生とか何とかはまったく気になりません。いい話ができる人とは、積極的に関わりを持ちたいと思っています。学生だから、そこから直接商談につながるようなことは稀かもしれません。でも、卒業後の進路によってはいっしょに仕事をすることだってありうるでしょうし、研究というフィールドでは誰にだって刺激をもらいたいと思っているので、僕にとっては時間を割く価値があるのです。

当の学生自身がどう思ってるかですが、話を聞けば彼らも立派にみんなの前で語れる考え方を持っているし、そのことに全く後ろ向きではないと思うんですよね。でなきゃわざわざカンファレンスになんか参加しない。でも、バーンと前に出ていく勇気まではなかったりする。出て行けば得るものは大きいと思うんですけどね。失敗しても「まぁ学生だから」といって許してもらえる可能性も高いだろうし、上司にこっぴどく叱られて立場を失うこともない。ならば、周りにちょっと背中を押してもらえばいいと思うんです。そのために、自分とは立場の違う人と知り合えることは大きいはず。

今年のカンファレンスで知り合った学生の一人に、Twitterでフォローさせてもらってる人がいます。彼のつぶやきは、それ単体は日常の本当に「普通の」つぶやきですが、互いの日常、互いの興味関心の断片をゆるい感じで知ることによって、お互いが何か勝手に刺激を受けることもあるわけです。メールはなかなか意志がないと書けないけれど、Twitterのreplyくらいなら気軽に出せるし、言葉に対するコメントだから話題が絞れていて前置きもいらない。彼はブログも書いていて、RSSリーダーにも登録していますが、ブログのようなまとまった文章を書き続けるのはエネルギーがいりますよね。書き手も読み手も得るものは大きいのですけど。だからブログまでいかなくても、Twitterで適当につぶやくことはお勧めしたい。それが「ドロリッチなう」とかじゃなければもっといい(笑)

せっかく人と出会う場に出ているのだから、話をする機会を得て、何かにつながる関係が築けたらいい。そのために名刺を持とう。名刺に気にさせることを書こう。名刺にTwitterのIDを書いておいて、いつかのタイミングで何かが起こる可能性を残そう。そんなふうに僕は思っています。

あ、僕自身が名刺にTwitterのIDまだ入れてないや・・・。


追記(2009.10.31):

TwitterでもフォローさせていただいてるDakinyさんこと蒲生トシヒロさんが、この記事に触発されたそうで、すぐにエントリーを書いてくださいました。

Twitterを始めたら、個人名刺を持とう!ブログを始めよう: 世界中の1%の人々へ

いやぁ、全然予期してませんでしたが、まさにTwitter+Blogの見事な流れでとても嬉しいです。ありがとうございます!Twitterは確かに後に残りにくいものなので、アウトプットに慣れたらブログを少しずつでも書きためていくのが一番いいですよ。