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映画「サマーウォーズ」を見て思ったこと

ネタバレは本意じゃないけど、そうしないと書きようがないことなので、これから映画見るぞーという人は以下読まないでください(ってこういう前置きに度の程度効力があるのかもわからないけど)。あと、僕は人生で数えるほどしか映画館に行ったことがないので、そういう人の話だから・・と思って読んでください。

映画に疎い僕ですが、サマーウォーズについては、松山の商店街を歩いていたときに大スクリーンで宣伝していたのを目にしたので、面白そうな映画だなぁという印象は持ってました。まぁ予告編は結構フェイントな内容だったわけですけどね。ちなみに劇場で観るアニメは高校のときの「もののけ姫」以来。

さて内容ですが、日本の「いま・普通」が違和感なく描かれているところが、僕はすごく気に入りました。おばあちゃんの誕生日という親戚・家族の絆を描きつつも、DSを手に走り回るヤツ、パソコンにずっと向かってるヤツ、高校野球の応援に一生懸命なヤツもきちんと描かれていてます。それを極端にポジティブにもネガティブにも描かないことによって、そういう新旧多様なレイヤーが混在した状態でバランスよく平和に収まっているのが、日本の「いま・普通」なんだなと改めて実感しました。これが、ちょっと昔の田舎や、逆に近未来の東京とかが舞台だったら、実感がなくて面白くないと思うんですよね。

それに、細かいところですが大きいのは、実際のメーカー品を忠実に描いていたところ。キーボードはデル、液晶テレビはソニー、携帯ゲーム機はNintendo DS、コンピューターの画面切り替えがMacのSpaces(これはマニアックか)。でもオタク層にだけウケるような感じではなく、観客のレンジを狭めないようなバランスで描いてるところに、制作者のセンスを感じました。

もちろん、OZと呼ばれる仮想世界の描かれ方や、そこを舞台に繰り広げられるストーリーは、漫画的でありリアリティがどうこうというものではありません。ただ、漫画的といっても、日本的な表現を素直に延ばしていった気持ちよさがあり、なんでしょうセカンドライフのCGみたいなものと対極にある、日本のアニメっていいよね、ゲームっていいよね、と思わせる描写でした。花札をビジュアルに持ってきた選択も良かったと思います。

主人公含め登場人物のキャラが立っていなくて、いわゆる名言・名シーンみたいなものも思い出せないのは、たぶん狙ってのことだと思います。そこも普通を追求しての演出だと僕は理解してます。まぁ、エンディングテーマの山下達郎は妙にインパクトがありましたけど(笑)

部分部分を見ると単純にスゴイとは感じないかもしれませんが、いろんな要素を並べながら、エンタテイメントな味付けに仕立てるそのバランス感覚、センスの良さを強く感じましたね。予告編でハリウッド版鉄腕アトムに衝撃を受けたのですが、日本のアニメに自信持っていいじゃん!って思いましたし。ということで、勝手に前向きになったいい映画でした。

追伸:ところで、映画って舞台みたいに見終わった後拍手しないんですよね。当たり前だろが!って言われそうですけど、終わった瞬間動けない感じというか、気持ちをどう外に出していいかわからない感じが、居心地悪いなってちょっと思いました。隣の人見たら伸びとかしてたけど、映画は面白かったって言ってたし。なんか、わーよかったねって感じで終わりたいっ。