インクルーシブデザインワークショップについて、年が明けた今も何となく悶々と考える状態が続いています。以前に記事「インクルーシブデザイン ワークショップ:携帯電話のデザイン...">

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Re: インクルWS 〜デザインの前提と関係者の期待〜

昨年11月に開催された<href="http://www.re-creators.jp/study/2008/11/20_156.html">インクルーシブデザインワークショップについて、年が明けた今も何となく悶々と考える状態が続いています。以前に記事「インクルーシブデザイン ワークショップ:携帯電話のデザインから見えてきたこと|with Computer(第2期)」で結構な量のテキストを書いたのに・・・。まぁ例によって「デザインとは何だろう」という問題につながってるからなんですけど。

インクルーシブデザインについて、あらたさんのブログ

何か特定のプロダクト(例えば、A社のWebサイトなど)を具体的に改善するためにインクルWSを開催するのは違うかもしれない。インクルWSはあくまプロダクトをリードユーザ(障害者や高齢者など)と協力してデザインするというそのプロセスそのものに重きを置いているから。

という言及があります。

前回の記事でも書きましたが、僕がこのワークショップで学んだことのひとつに、今までなされてきた「専用のデザイン」を疑う、ということがあります。携帯電話における「目が見えない人専用のデザイン要素(だと思われていること)」は、必ずしも目が見えない人だけに役立つものではないし、既存の携帯電話にはもっとフィジカルなデザインの視点が必要ではないか、ということでした。

僕にとって大事なことは、そういう視点や気付きが得られたことであって、具体的に何をどうすれば良いというノウハウを得たことではありません。僕は携帯電話のボディをデザインする仕事をしているわけではありませんから、製品に盛り込むべき仕様を考えるというより、考え方や視点を得るためにワークショップに取り組んでいたところがあります。

だから、対象が携帯電話であってWebサイト(僕が普段開発に携わっているもの)でなかった点は、僕にとっては大したことではないわけです。もっと違うもの、ゲームのデザインや街のデザイン、社会のデザインなんかでもいいかなと思っています。普段自分の注意が向いていない世界から得られる視点の方が、刺激的だったり道が開けたりしそうじゃないですか。

実際、このワークショップで得られた視点は、例えばサイトのインターフェースに生かすことができるかもしれないと思っています。また、専用のデザインという考えはWebサイトだとどうだろうか?とか考えるのも面白いかもしれません。「・・かもしれない」というところは大事で、学んですぐ何かに使える知識ではなくても、温めていれば何かのきっかけで他の何かと結びついたりする、そういう価値もあるんです。例えば、アイディアとかは基本的にそうですよね。常に備えていてこそ必要な時にひらめくというか。

逆に、対象がWebサイトであると、開発工程の終盤の段階をどうしてもイメージしてしまうんですよね、Webの開発者にとっては。ブラウザや実装の枠を大きく越えるようなレベルの話は無意識に避けてしまうかもしれないし、もっと初期段階の話、例えば「そもそもデザインすべきはWebサイトではなく、利用者のライフスタイルではないのか?」みたいなところには行きにくい。仮にそこが根源の問題であり、それこそがデザインされるべきものであっても。

インクルーシブデザインが何であるのか?という部分で僕の知識は全然足りないので、見当違いな言及かもしれませんけど、ワークショップの目的をどこに置くかで内容は随分変わってくるんじゃないでしょうか。デザインって何だろう?っていう意識の向上が目的なら、僕らが無意識に持っている枠や方向性を取っ払って、新しいものを入れられる経験ができることが望ましいと思います。逆に、そういうデザインプロセスの後半部分、数多くの前提を理解したうえで具体的な改善策を探る場合、ペーパープロトタイピングをガチャガチャやればいいと思います。これは、どっちが良いとかいう問題ではなくて、結構別なものなのかなと僕は思っています。

理想的すぎる話かもしれませんが、サイトの実質的な改善策を考えるためにペーパープロトタイピングを行う場合、そこにリードユーザーが加わるとすれば、その段階だけじゃなくもっと前からリードユーザーが関わっていないといけないんじゃないかと思います。サイトのUIとかレイアウトを詰める段階だけリードユーザーといっしょにデザインしましょう、では効果が限られるかなぁと。だって、デザインの根本の問題はちょっとコーディングを変えただけでは解決不可能、ってことはよくあるじゃないですか。

あと、セミナーで講演したりするときによく思うのは「関わる人たちが何を求めているかを理解したうえで進めないと、その試みに価値があっても関係者の満足度が上がらない」ということです。単発で短時間のプレゼンテーションだと、参加者が自分で考える形ではなく、講演者が答えを言うような形でないと時間内に収めにくいのです。プロセスの共有によって参加者の意識か何かが変わっていく、ということはとても難しい。結局、聞き手の期待に合わせるということも多いんです。こういうワークショップも、関係者でコンセンサスをとることが大事なんじゃないでしょうか。まぁ、それが難しいということもよくわかりますけど。うーん。