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ゼルダの伝説とAPEの攻略本

ゼルダ、クリアしました。といってもWiiの新作「スカイウォードソード」じゃなく、SFCの「神々のトライフォース」の方で、Wiiのバーチャルコンソールでやりました。

この「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」は1991年の発売ですから、なんと20年前の作品です。僕がゼルダに興味を持つきっかけとなった作品で、以降「風のタクト(GC / 2002年発売)からずっと遊んでいるんですが、プレイするのは今回が最初でした。当時は親の許可が出ずにゲームを買えなかったので、代わりに攻略本を買って、マップとアイテムを覚えるまで熟読し脳内でガノンを倒していたからです。あれから20年、やっと自分の手でハイラルを旅したのです。感無量。


攻略本だけ読んで何が楽しいんだよ、と思わずツッコミを入れた方、あなたは知らないだけです。すばらしい攻略本の価値を。マップと詳細データだけの昨今の攻略本とは違うんです。僕が愛読していたのは、APEという糸井重里が作った編集プロダクションが出していた、任天堂公式ガイドブック。これは本当にすごい。読み物としての圧倒的な魅力。クリエイティブとはこういうことなのか!と当時も今も感動する仕上がりです。

ゲームの攻略本は、ゲームの謎を解く手がかりを与える役割を持った本です。謎は自力で解ける方が楽しいに決まっていますが、解けないでイライラして放り出したくなる人のための、いわばカンニングペーパーみたいなもの。知ってしまうと楽しみを損なう情報であるので、ただ単にドーンと載せてしまえばいいわけではありません。とても役立つレベルだが、楽しみを全て奪い取るまではいかない、絶妙な情報のコントロールがこの本には感じられます。画面写真や解説文が本当によく考えられていて、しかも語り口にユーモアがある。楽しくてついつい読んじゃうけど、ゲームの面白味は減らない。このバランス感覚がすごいんです。

またこの本は、単なる攻略情報以外の部分も非常に豪華です。写真やイラストは、物語の世界観を感じさせるものがチョイスされていますし、開発者のインタビューや、しりあがり寿の漫画とエッセイなど、いろんな角度からの盛りだくさんのコンテンツが、ゲームへの愛を感じさせてくれるんですよね。そのゲームをまったくプレイしたことがなくても、純粋に読み物として面白いなんて、これはもう凄いことですよ。

そして、装丁がまたすごい。APEの攻略本の多くがそうなんですが、紙質や特殊印刷にこだわった高級感のある表紙、読みやすい文字組、図版とテキストの美しい配置。ゲームのパッケージをそのまま持ってきたり、データを単にずらずら見せるなどありえない、上品で意思のあるデザインなんですよね。当時小学生だった僕は、編集って素晴らしい仕事だなぁと、この本を見つけて思いました。今もその思いは変わりません。

いま続けて新作をやり始めたところで、このゲームデザインも相変わらず素晴らしく勉強になります。僕の持論は「ゲームは経費!」ですが、例えばインターフェースやUXについて、ゼルダを絡めて考えたりします。なのでまたそれは別の記事にもしようかと思いますが、攻略本にもプロの仕事はちりばめられているし、情報の価値ってこうやって生み出されていくんだなぁと改めて思ったのでした。

ちなみに親がゲームの購入を許可しなかったのは、ゲーム嫌いではなく視力が落ちることを懸念して、とのことでした。「神々のトライフォース」から「風のタクト」までのあいだ、据え置き型端末のゼルダシリーズは「時のオカリナ」や「ムジュラの仮面」が出ているのですが、この2作は3D酔いしてまともにプレイできなかったんですよね。それ以降は特に問題を感じないので、ゲームもいろいろ進化しているんでしょう。