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それってワークショップなん?

最近「ワークショップ」という言葉の入ったセミナーをよく見かけます。なんというか、ワークショップと銘打てば集客がしやすい空気も感じます。僕自身も時々そういうのに参加するのですが、そのなかで「ワークショップ」って何なのだろう?とも思うようになりました。

ワークショップと名が付くセミナーによくあるパターンとしては、参加者がいくつかのグループに分かれ、決められた課題に取り組み、最後にその成果を発表するというようなもの。なるほど確かにワークはしてる(課題に取り組んでる)し、講演者の話を黙って聴く形式とは違う、というのはわかります。でも、結局は講師の用意した「AはBですよ」という答えを、話やスライドを用いて理解させるのか、クイズやゲームみたいなものを受講者にやらせて理解させるのか、という手法の違いにすぎないのではないかと。なんだか「はい、その通り、よくできました」というオチはいっしょだなぁと思ったり。それって僕も自分の授業でよくやりますけど、それがワークショップかというと違う気がするんですよね。

じゃ、お前の言うワークショップの定義って何なんだよ?って聞かれると答えにくいのですが、講師が事前に用意した答えを知るためではなく、講師も参加者もいっしょに活動の中で未知なるものを得るための方法、というイメージを僕は持っています。その場で生まれるものを大事にする、というか。もちろん、何が生まれるか全く予測不能です、という姿勢でセミナーをやるわけにはいかないので、ある程度の範囲というか方向性の縛りは必要でしょうが。

いやいや、それだったらグループワークで未知のものは生まれてるよ?とツッコミがきそうですが、本当にそこまで言えるほど成果のあるワークって経験がありますか?正直それほど多くはないと思うのですが、どうでしょう。

例えば「何かWebサービスを考えて発表する」というワークが設定されていて、初顔合わせの人たちが短い時間でアイディアを出し、役割分担してワークに取り組み発表をする。普段とはちょっと違う緊張感とか高揚感などもあって楽しいわけですが、やってること自体はWebデザイナーの日常業務ですよね。で、各グループの発表を「みんな面白いアイディアだなぁ」とか思いながら聞いて、セミナー講師がまとめにもならないまとめの挨拶をして終わり・・となると、講師って何のために存在してるの?って感じがするんですよ。これは別に「各グループのアイディアを評価するコメントをしろ」という意味ではないですよ。参加者の活動をサポートして、何かダイナミックに新しいものが生まれるような場を、ワークショップの講師としてデザインできているのか?というツッコミです。いや、それってめっちゃ難しいんですけどね。

いつだったか、セミナーにワークショップを取り入れると受講者の満足度評価が上がる、みたいな話を聞いたことがあるのですが、それってワークショップが「何か新しいものを生み出す特別な空間」として機能しているからじゃなく「参加者のガス抜きの場」として機能しているからではないか、と感じています。

制作会社勤務のデザイナーでも、職場では業務に追われているせいか、意外にもデザインの話を十分にすることができていないケースが多いようで、セミナーのワークの場は、日ごろの愚痴も絡めつつ楽しく話ができる貴重な機会になっている部分があるようです。なので、そのワークは少なくとも「気分的には」よかったと評価されやすいのでしょう。セミナー直後のアンケートですし。でも、そこで学んだことが後日役立てられているかというと、なかなかそんなことはないでしょう。よほど衝撃的な体験でもしないかぎり、次の日からの行動を変えるようなことは起きないのが普通。ましてや、単にグループでワークをしてもらう程度のワークショップの設計では、望むべくもないと思います。まれにグループの参加者にスゴイ人がいて、そのグループだけ突出した違う学びが起こる場合もありますけど、それは講師のデザインによるものではなかったりしますからね。

とはいえ、そういう「ガス抜きの場」みたいなものを否定したいわけではありません。むしろ、そういう場はもっともっとあったほうがいい。このブログでも何度か書いていますが、セミナーではずっと黙って聞くばかりで、いっぽう懇親会では酒も入ってバカ話か愚痴になってしまう・・・というように「カジュアルに仕事の話をする」のが難しいと感じている人も多いはず。もっと普通に「お菓子を食べながらお話する会」みたいなのもやればいいと思います。ちょっとでも前向きに仕事ができるようになることを目的とするイベントをね。

そういった「ワーク」の目的や狙いを、講師の側がきちんとデザインしたうえでセミナーに盛り込むのであれば、それは一向に構わないと思います。ハンズオン的な形でワークを使うのだっていい。でも、どうも最近は「ワークショップ」という言葉が乱用され気味という印象を受けます。Web 2.0やUXのように、そこから学べることは多いはずなのに、バズワード化されて全体がダメになるのはもったいない。セミナーを主催する人も、参加する人も、もうひとつ上のところを見てほしいなぁと。

何か新しいものを生み出すような、僕なりに言うと質の高いワークショップについては、Web業界ではノウハウを持った人は限られているように感じます。もっと他の業界の先人に目を向けないといけないでしょう。どうせなら他業界とコラボレーションすると、Webの人も視野が広がってよいのではないかと思います。

さて、オマエモナーって言われないよう、僕もそろそろ9月からの授業のこととか考えないとなぁ・・・。