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いかに学ぶかも考える - WCAN 2014 Autumn に参加して -

先週末は「WCAN 2014 Autumn」に参加しに名古屋に行っていました。参加した4セッションはどれも面白かったのですが、とりわけ考えることが多かったのは、加藤ひとみさんの「Web制作を好きになる指導法 ー 生徒と学ぶ3年間 ー」というセッションでした。加藤さんは名古屋市立工芸高校でWeb制作の授業を担当されている先生で、どんな教育方針で何をどのように教えているのか、その実践を紹介するというもの。僕自身はWeb制作者よりも教師と話をする機会の方が多い毎日なのですが、Web系のイベントに高校教師が登壇するというのは非常に稀だと思います。教育が専門の自分としては、これは聴かねばなるまい、と楽しみにしていました。

印象的だったのは、Web制作の知識や技術を教えるだけでなく、卒業して仕事をしていくうえで必要な姿勢や考え方を育てる、という教育方針でした。人の話をきちんと聴く、考えたことをアウトプットして整理する、わからないことは自分でまず調べる、作ったものを互いに評価しあうといったことで、これはもちろんWeb制作に限らず大切なことです。高校というポジションというのもあるのでしょうが、やっぱり人を育てるっていうのはこういうことだな、と改めて思いました。このセッションについて他の参加者とも話をしたのですが、社員教育にあてはめる経営者とか、後輩のアドバイスを考える先輩社員とか、それぞれの立場で学ぶことが多かったようです。

Webを学ぶことについては「お手本となるサイトのソースを読め」などというアドバイスを、昔はよく耳にしたものです。確かに他の分野と違って、中身が公開されているのがWebの学びやすいところ。でもコードはどんどん複雑で難解になってきていますし、今やコードは理解している(=サイトが作れる)というだけでは「Web制作」の全体はカバーできません。学ぶべきことは多方面に広がり、また目まぐるしく変化もしているのがWebという分野です。ならば「何を学ぶか」だけでなく「いかに学ぶか」も、もっとオープンに議論されていいんじゃないか、と思うのですよね。

個人的な印象ですが、Web業界は(何と比較するかにもよるでしょうが)学ぶことに前向きな人たちが多い、と思っています。技術情報は書籍やブログなどで積極的に公開され、勉強会やセミナーイベントも頻繁に開かれ、制作者間の横のつながりも強い方でしょう。ただ、それで知識を吸収することはできても、いざ自分の現場で実践するとなると難しい、思ったように結果につながらない、という声も多く耳にします。それぞれの現場にはそれぞれのルールがあり、クライアントがいて、上司や部下がいて、予算や時間や立場上の問題もあります。学んだ知識の活かし方や、忙しいなかでも学び続ける方法を身につける、ということも同時に必要ではないかなぁと。

学んだことをどう活かすかはその人次第。そう言うとカッコいいし、確かにその通りではあります。でも、もう少し業界全体的に、学び上手・学びの活かしかた上手になっていくことはできないのかな、とも思うのですよね。講師やイベント企画者だけでなく、参加者レベルでもそういうことを考えて、実際に動いていくことが必要な時代になってきたんじゃないでしょうか。