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再考:名刺交換

先日のWCANでのプレゼンで、セルフブランディングの例として名刺を取り上げましたが、関連して面白い記事があったので紹介します。

「名刺」を持たない生活を半年して気付いた3つのこと | ソーシャルウェブが拓く未来

いやいや名刺は必要でしょ!とかそんなコメントもちらほらありましたが、べつにそういうことは重要じゃなくて、ソーシャルメディアと名刺の関係を考えるのには良い記事だと思うんですよね。

確かにいったんFacebookでつながれば、名刺を「連絡先のデータベース」として保持しておく必要はないでしょうね。Facebookは実名登録で、顔写真が使われてることも多いので、メッセージを送るときに間違うことも少ないでしょうし。スマートフォンで「はじめましての場」で友達申請しちゃえば、後で名刺の山を掘り返して作業することもない。また、FacebookからブログやTwitterをたどれるようにしておけば、自分のことをより深く知ってもらう道筋を示せます。このことの重要性は前回の記事で書いた通りです。

もちろん、こうした流れの実現には、自身だけでなく名刺を渡す相手も、ソーシャルメディアとスマートフォンを使えているという前提が必要です。紹介した記事の作者さんは、IT系バリバリの人っぽいし「僕が日々名刺交換する相手は、大抵僕の事を知ってくださっている」ということなので、ちょっと特殊な感じはします。現状は、誰もがみんな「名刺は不要」にはならないでしょう。

でも考えてみてください。全員じゃなくても、交友関係のグループの中には、その前提を共有している人たちがいるんじゃないですか。僕の場合だったら、Web制作系のセミナーで出会う人とかですが。そういう人たちには「まず最初は名刺交換から」じゃなくてもいいかもしれません。名刺を持っているからといって、挨拶する人全員に渡さなきゃいけない決まりはないですよね。

僕はWCANのプレゼンで「名刺に罠を仕掛ける」という言葉を使いましたが、そんなことしなくてもガンガン相手と話せる人は、べつに普通の名刺で問題ないでしょう。なんなら名刺なんてなくてもいい。あるいは、最初に名刺交換なんかせず楽しく話をして、別れる際に「あなたとは今後もお付き合いしたいので」って言って初めて名刺を渡すとかでもいいと思うんですよ。そういうの、ちょっとカッコよくないですか。名刺を誰にでも配ってるヤツとは違うんだぜ、みたいな(笑)

大切なのは、その場のコミュニケーションをどうデザインするかであって、自分のスタイルや相手によってそれは自由に変えて構わないはず。慣習的な「まず最初は名刺交換から」をうまく利用して会話の導入につなげるも良し、あえて無視して自分の好きなスタイルに持ち込むも良し。ソーシャルメディアによって、そういう自由度が広がったと僕は捉えています。いい時代ですね。

名刺交換ひとつとっても、慣習の前に思考停止しなければ、いろいろディスカッションできることがあると思うんですよね。WCANのプレゼンで例に挙げた「名刺の工夫」は、単なるTipsではなく、その背後にある考え方を説明するものにすぎません。僕がいちばん伝えたかったのはそこなんで、そういう思いでスライドを見返してもらえると嬉しいなーと思ったりしています。