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Talk Note Vol.3 に行ってきたよ

台風接近に伴い、開催というか「僕が大阪から出られるのか」危ぶまれた Talk Note ですが、無事参加してきました。新大阪から定刻通り新幹線は出発、静岡は予想以上に雨風少なく平穏な感じで拍子抜けする一方、イベント参加中しているあいだ地元(大阪)が大荒れ。今回は静岡に宿泊するつもりで来ていたので、逆に深夜に大阪に帰らなくて結果的に良かったともいえる状況でした。

さて今回のTalk Note、テーマはプレゼンテーション。僕は昨年度から大学でプレゼンに関する講義をしていたり、「ハッピープレゼン」というブログをやっていたりと、元々プレゼンには強い関心があります。今回は、プレゼンに関する直接的な勉強はもちろん、講師の三人(鷹野さん・原さん・志鎌さん)がどんな形でセッションをするのか楽しみにしながら受講しました。

内容の詳細なレポートは他の人に任せることにして(恒例ですね)、各セッションおよび全体について思ったことを書いていきます。

1番手の鷹野雅弘さんは、プレゼンの定義から始まり、スライドの作り方や話の構成の仕方、準備の流れなどの勘所をわかりやすく説明してくれました。取り上げている内容は基本、王道と言えるものなのですが、それを体系的に明快に取り上げられるということと、鷹野さん自身が確実にそれを実践していること(=実践の中で検証・整理されてきた知識であるということ)がすごい。1つ1つのことはシンプルで、情報として聞くだけならあっさりしたものなんですが、それをこうやって自分の経験として語れるというのは大変なことです。

鷹野さんのプレゼンは、いわゆる「鷹野メソッド」と名付けられるような派手な特徴は少ないかもしれませんが、安定感・完成度が常に高いんですよね。このプレゼンのパフォーマンス自体が、セッション内容とあわせて非常に参考になりました。

2番手は原一浩さん。前半は原さん自身のプレゼン経験が語られ、後半はグループディスカッションとプレゼン実践という構成でした。僕は授業でもワークショップっぽいことを普段やっていて苦労しているので、この原さんのセッションは(全体の位置付けという意味で)かなり難易度が高そうだと思っていました。結果としては、うまくいったところと、やはり難しかったところがあったように感じました。

グループに課されたお題は「自分のプレゼンで課題として感じていること」で、それについて代表で1名がプレゼンするということなんですが、これはけっこう難しかったですね。短時間でプレゼンできるだけのサイズの問題意識にすること自体が、ややハードルが高いと思うんです。僕の感覚だと「問題意識がある」というだけでビギナーの域を超えているので。ただ、最初はやや戸惑っていた感じがあったものの、8人もいれば誰かがさりげなく流れを提案して、少なくとも自分たちにとって有益な形に活動を仕立てていくものです。結果的には各グループがなかなかのプレゼンっぷりを見せて充実してました。

3番手は志鎌真奈美さん。前半は志鎌さん自身のプレゼン経験を語る内容で、後半は「プレゼンの考え方は日常生活にも生かせる」というもの。後半の内容は、僕も大学の授業や「ハッピープレゼン」でしつこく触れていることで、僕なりにまとめると「プレゼンを変に特別なものとして距離を置いて捉えていてしまっては、実践の機会も向上意識も少なくなり、結果としてなかなか上達しない」ということです。プレゼンはそれこそ、このイベントに参加した途端に上手になるものではなくて、得た知識を実践して自分なりに消化し、日頃からアンテナを張っておくことが必要になります。そのためにも、プレゼンを自分の文脈で捉えることが大切なんだと、志鎌さんは志鎌さんらしいプレゼンで表現してくれたように感じました。

今回の講師陣の3人は、それぞれにプレゼンのスタイルが違います。スライドの作り方や使い方も違いますし、話の展開のさせ方や語り方も違います。それぞれのプレゼンの個々の要素を取り出して個別に改善ポイントを考えることは可能でも、3つのプレゼンを単純比較してどうこういうことには意味がありません。プレゼンには絶対的な正解はないからこそ、それぞれのパーソナリティーが反映されることで魅力も増すのだな、と改めて感じました。

プレゼンに関するワークショップというか学びの場って、僕も手がけてみたいなぁとは日頃思ってるんですよね。ある程度できる人対象のスキルアップの場とか、プレゼンなんて縁遠いと感じてる人向けの意識改革講座(笑)とか。

特に後者は、現状は良くないなぁと思ってるんです。最近はセミナーなどで一般的になりつつあるライトニングトーク(5分など短い持ち時間で次々プレゼンする形式)ですが、なかなか手を挙げてくれる人がいないという話を、あちこちのセミナー主催者から聞いたりします。なんでーいい機会なのにもったいない!と思うんですが「なかなか勇気が出ない」とか「プレゼンしてもメリットがない」とかいった理由が多いそうで。プレゼンに対する後ろ向きな気持ちが当たり前になると、人の関わりも減って、面白いことも起きていかないと思うんですよね。そういう現状は変えたいと思っています。

このイベントで学んだことを、自分のプレゼンに反映させつつ、それを人に伝えるにはどうしたらいいのかも考えなきゃなぁ、と思わせる有意義な時間でした。関係者のみなさん、どうもありがとうございました。