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何事も早々に決めつけない

これは良い記事だ。とりあえず読んでください。

目的志向の折衷主義: 心のうち

僕も同じ考えというか、それってとても素直で自然な考え方だと思う。でも「人は何かを肯定する際に、それと比べられるものを極端に否定しがちだな」と思わされることは多い。

自分が気に入っている学習法や教材を、何にでも適用しようとする教師や教材開発者。自分の望む結果になりやすい分析をして、自己の判断を正当化するような研究者。学会や研究会に行くと、そういう人たちに出会うことは珍しくない。そこで僕が「それってこういう見方もできますよね」と、別の分野の話とかテキトーなことを引っ張ってきてツッコミを入れると、相手は驚いて「おまえは何を言っているんだ」的な表情でフリーズしたりする。

別に悪意はないんだよね、相手も僕も。自分の守りたいものを守ろうとしてるだけなんだと思う。自分の経験とかスキルとか価値観とか自信とかプライドとかを。

僕が日頃ちょっとだけ意識しているのは「判断を急ぎすぎないようにする」ということ。新しいことや異なる価値観に出会ったときに、いきなりファンになったり拒否したりせず、まずは素直にその世界に浸かってみる。浸かっていれば、その特徴とか思想的な背景とかが見えてくる。

そういった判断材料が揃った時点で、それに対する現時点での立ち位置を決める。部分的には取り入れようとか、賛同はしないけど気持ちは分からなくもないなとか、そんな感じのバランスを取る。あんまり極端な方には振れないようにする。何事も極端なのって、どこか我慢しての結論だったりするから。

あと「現時点での」というのは、また状況が変わったら自分の中の評価も変わってくるよ、変えたっていいんだよ、と自分に伝えておくということ。最近「ブレない俺カッコいい」とかいう思想が流行ってるようだけど、あれは危険じゃないかな。そう言いたいがために、最初の判断を正当化する根拠を探そうとしたりするから。評価がアレコレ変わる方がむしろ自然だ、くらいの気持ちでいる方が、トータルに見ておかしな方向につき進んじゃうのを防げる気がする。

まぁ、こうやって整理して言えるほど、自分もきちんとやれてはいない。極端なことを言う、何かを全力で褒めたり、バッサリ切り捨てたりするのって、気持ちがいいもんね。でも、最初は見栄とかネタとかのつもりで言ったことに、だんだん縛られるというかその気になっちゃうのが人間。

Web界隈のネタでいえば、レスポンシブWebデザインとか、インブラウザデザインとかいった話題に対して、漠然と無視を決め込んでる人は多いと思う。表層的なTipsとか論調だけ取り出してきて、それなりに評価したつもりになろうとしてる人、と言ったらいいのかな。そんな人には「まぁ、そんなに毛嫌いしなくても、ちょっとやってみたらどうですかねぇ、いっしょにやりましょうよ」と言いたい。

ちょっとやってみた人ならわかると思うけど、実際は「ちょっと」のコストでは済まない。それなりの量の情報を吸収して、自分でもやってみて、だんだんと真ん中の部分が見えてくる。勘のいい人はサッとできるのかもしれないけど、僕は不器用だから苦労してる。楽だとは言えない。でも、真ん中の部分が自分なりに見えてからじゃないと、そうそう良い判断は下せないと思う。

時間が経てば、情報が整理されて質も上がって、わりと真っ当な評価が表に出てくるでしょう。そうなるのを待ってから判断するのは確かに効率的だけど、その頃には世界はもう二歩くらい先に進んでしまっていて、判断はできたけど対応できなくて辛い、みたいなこともある。ITとかWebの影響力の大きい世界では特に。だからコストは先払いしないといけないと思うんだ。どの程度を支払うのがいいのかは人によるけど。

なんかだんだん話がそれていったけど、それでもいいことにしよう。