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プレゼンは準備が大切という当たり前のこと

まにカレ HTML5+CSS3 制作現場の実践アプローチ大公開!というセミナーに行ってきました。全体的なレポートは他の参加者のブログなどを見ていただくことにして(恒例の展開)、特にプレゼンの仕方で感じるものの多かった、ピクセルグリッドの小山田さんのセッションについてだけ書いておきます。

小山田さんのプレゼンを見て、スライドも丁寧に作り込まれているし、何よりスピーチをよく練習されているなぁと感じました。懇親会でご本人から「文字だけのスライドをできるだけ少なくしようとした」というお話を聞きましたが、そういうスタイルは、スライドに書かれていない情報をスピーチで補うこと前提なんですよね。だから、スライドを作って力尽きるのではもちろんダメで、スライドを送りながら必要なことを無駄なく話していく、そういう練習を積んでいないと本番でうまくできないものです。

僕が小山田さんのプレゼンに勝手に親近感を覚えたのが、表示中のスライドの一部に誤り(強調のため丸で囲むべき場所が間違っていた)があるのに本人が気づかれたとき、その訂正の仕方がすごく慌てたように見えたことでした。それまでのスムーズな流れがあったから余計にそう感じたのでしょうが、誤りの重大さ以上に慌てていて、そこからしばらく話のリズムを崩されていた印象でした(と言っても微妙な変化ですけどね)。僕はそれを見て「もしかしたら小山田さんはアドリブがあまり得意ではなくて、だからこそ、スライドの作り込みとリハーサルを入念にされるタイプなんじゃないだろうか」と勝手に思ったのです。

僕自身、アドリブは得意ではないので、話すことは口をついて出てくるまで練習しますし、スライドも話のリズムを崩さないよう流れを徹底して考えます。僕の場合、アドリブだと慌てて余計なことをしゃべってしまって、話をかえってわかりにくくしがちなんですよね。アドリブでその場を偶然乗り切れても、別の機会で同じようにやれる保証はありません。それならばしっかりと準備して、堅実に失敗の確率を下げていくほうが汎用性も高い、と僕は考えています。

小山田さんは、件の箇所のミスを気にされたかもしれませんが、全体を見たときには、そんな部分は実に些細なことです。むしろ、そうしたミスがないようにスライドもスピーチもきちんと準備しているという、聞き手を意識した丁寧な準備の部分を際立たせたように思いました。他人が内容をマネすることは容易ではないですが、プレゼンをきちんと準備していく、その手法と姿勢はいくらでもマネできることだと思います。ちゃんと用意して臨んでますよっていうのが見えると、聞き手は基本的に嬉しいですしね。がんばって聞くぞって気分になります。プレゼンで大事なことを改めて見せられた感じがしました。

ちなみにこれも推測ですが、ブラウザアイコンを並べたスライドで、IE6だけ牛乳パックにしてたところは、見せた瞬間に観客の笑いを得る狙いがあったと思うんですよね。でも(僕が見た感じでは)笑いは起きていなかった。あとで司会がそこをフォローして笑いが起こっていましたが、これも小山田さん的には小さな動揺が生まれたんじゃないかと(笑)。思うに「IE6=腐った牛乳」という話をよく知らない参加者も一定数いたんじゃないかということと、心の中ではウケてるけど声に出してリアクションしなかったという、2つの要素があったんじゃないでしょうか。

特に後者は、お芝居でもそうなんですが、声に出してくれないと壇上からはお客さんの反応がつかみにくい。だからすべったのかと思って動揺して、無理にアドリブを繋げたり、いわゆる「ここ笑うとこやで」みたいなことを言ってさらにすべったりするケースも多いです。でも実際は「声をあげること」って心理的なハードルが高いので、知らない人ばかりの会場の中ではやりにくい、というだけだったりするんですよね。以前芝居をやっていたときに、お客さんの中に劇団員を混ぜておいて、ネタのところで声に出して笑ってもらって会場をリラックスした空気にする、というのは経験したことがあります。壇上の人ひとりでは何ともできない部分ってありますからね。

何が言いたいかというと、牛乳パックは僕はクスッと笑ってしまったし、別に滑ってたわけじゃないと思いますよ、ということです(そこか)。