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たまには本屋に住みたい

僕がデザインとか編集とかいう仕事に興味を持つようになったのは、今思えば小学生のときに読んでいた「小学館の学年別学習誌」がきっかけだったのかもしれません。小学五年生と小学六年生は2009年度で休刊となったのですが、非常に面白い雑誌だったと記憶しています。

学年別学習誌というくらいですから学年ごとにターゲットを絞っているのですが、小四はホビー、小五はスポーツ、小六は時事ネタと、雑誌のカラーが明確に決まっていました。そして各雑誌には編集長がいて、毎号の企画の切り口はこの編集長のカラーがよく出ていました。小四の編集長が小五に異動、なんてこともたまにあって、スポーツがメインの学年に行ってどんなエッセンスを加えるんだろうな、といったことも楽しみにして読んでいました。ときに自分の対象学年じゃないものも買っちゃったりで。

特に小六の企画は秀逸で、玖保キリコの「いまどきのこども」を表紙に据え、湾岸戦争などの国際問題、ゲームセンター(当時はゲーセンに行くことは相当な不良として捉えられていた。少なくとも僕のまわりでは)や深夜のエッチな番組紹介、学校教育への問題提起など、少し背伸びした内容をセンスのよい切り口で記事にしていました。編集というのはすごい技だなと、小学生当時からいたく感心していたことを覚えています。

中学・高校の間は読みたいものが見つからず不遇のときを過ごしていましたが、大学に入ってMacを買ったあたりから雑誌欲が再燃。Mac Fan(当時はMac Fan Beginnersもあった)とMac Peopleは必ずチェック、クリエイティブ系ではイラストレーションや広告批評、装苑を読んでいました。すべて毎号買うわけにはいかないので、装苑は近所の図書館で読んでいたのですが、いっしょに置かれているアンアンやノンノにも目を通していました。内容に興味があるというよりは、写真やレイアウトを勉強するためでしたが、もともと「雑誌はビジュアルより内容」と考えるタイプなので、女性誌の中身もいろいろと読むことになります。藤原美智子とか、SHIHOとか、しまおまほとか、そういう人たちのことも知るようになりました。

女性誌はターゲットによって棲み分けが割とはっきりしていて、コンテンツやその語り口を見ていると、読者層とする女性の年齢、仕事、収入、価値観が見えてきます。以前、その方面に詳しい人に書店の雑誌を片っ端から解説してもらったことがあるのですが、そうやって分析的に見ていくととても面白いです。企画の内容や切り口はもちろん、そこに使われてる言葉にも強いメッセージが入っているんですよね。そういうことを流行らせたいんだなぁとか、社会や男性をそういう視点で見てるんだなぁとか、いろいろ見えてきますよ。

まぁ、書店の女性誌棚を徘徊するのはやはり勇気がいるので、この数年は電車の吊り広告のチェックでとりあえずは満足しています。見出しだけでも「それはないやろw」なものが結構あって飽きません。でも、月に1回半日だけでいいから本屋さん貸し切りとかしたいなぁ。誰にも気兼ねなく好きなだけ立ち読みできるから。たまには本屋に住みたいのです。