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デジタル教材はアプリが良いか、サイトが良いか問題の回答

デジタル教材を作る相談の中で「形としてはウェブサイトとスマホアプリのどちらがいいか?」という質問をされることが多い。いや正確には、「スマホアプリの教材を作りたいです!」という相談されて、詳しく話を聞いてみたら「それならサイトの方がいいんじゃない?なぜかというと・・」という説明をすることが多い。

この種の質問に対する回答は、ブログにも書いておいたほうが他の人にもいいかなぁと思ったので、以下にざっくりまとめておく。

まず前提として、どうも「サイト=PC用」と考え、サイトの形にするとスマホじゃ見づらい・使いにくい、と考える教師も多いようだけど、必ずしもそんなことはないです。PCしかなかった時代に作られたサイトの多くが見づらく使いにくいだけであって、スマホで見ることを想定した画面デザインや機能設計にすれば、PCでもスマホでも快適に使えます。

そのうえで、じゃあどっちがいいの?どっちでもいいの?という質問に対する答えです。

  • 特に最近の学習者にとっては、サイトよりアプリの方が圧倒的になじみがある。サイトと違ってアプリはインストールが必要。でもアプリの方が普通なので行動が早い。逆にURLを伝えると、そこからどうしていいか分からないというリアクションをされたりする。
  • 開発にかかるお金はアプリのほうが大きくなる場合が多い。作るまでもそうだけど、OSをバージョンアップしたら動かなくなったりするので、公開後もそうしたことの対応作業にお金がかかる。サイトは公開時そのままで長きにわたって問題なく動いているケースが多い。
  • 教材から直接収益を上げようとするなら、有料販売の仕組みがしっかり用意されているアプリの方がいい。ただし、出せば売れるというわけではもちろんないし、無料のアプリの方が多くの人に広まる可能性は高い。
  • 有料アプリを考えている教師は、まず同ジャンルのアプリを片っ端から探して試用して、有料でも買って使ってみて、アプリの評判もネットで探してみてほしい。そういう市場調査も利用者体験もしない状態で成功するのは難しいと思う。
  • サイトもアプリも、作った教材をターゲットに届けること、つまり知ってもらい使ってもらうのは本当に大変。気力、体力、ノウハウ、お金、あと運もいる。現状ほとんどの教材が、完成時点で力尽きてる(あるいは満足してしまう)感があるのは残念だけど、がんばれば結果が出るというのでもないので難しい。
  • 教材自体の知名度アップを優先するため無料で提供し、上がった知名度を生かした他の仕事をすることでトータルで得をする、という考え方もある。たとえば「いらすとや」は、おそらくほとんどの利用者が無料で使っていると思うけど、ある意味世界を変えてしまうほどに広まった。お金以外でどんなメリットがあるのかな、と考えてみるのもいい。

とりあえずこんな感じ。これまでの僕の仕事だとサイトの方が多いのは、僕自身の守備範囲の関係もあるけど、多くは予算とかターゲットの少なさとかが要因。特に日本語教育業界はいろんな面で規模が小さいので。でも、どーんと大きなリターンがあるような事業をデザインして、業界に明るいニュースを提供したいなぁとは日々思っています。