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iPadはプレゼンで使えるか

僕がiPadを買った理由のひとつに、学会などでプレゼンをするときの端末として使いたい、ということがあります。今まではMacBook Pro 15インチを使っていたのですが、やはり重い。保護も考えクッションのしっかりした専用カバンに、へたったバッテリも考えACアダプタとともに入れると、それだけで4kgとかになるわけですよ。これで移動とか本当にキツイ。

そこで先日のカンファレンスでは、軽さ追求のためにiPad+VGAケーブル+インナーケース+普通の小さめショルダーバッグという装備で出陣。ちなみに僕が使ってるiPadインナーケースは「TUCANO Elements Second Skin Special Edition sleeve for iPad Ice white」というやつです。あまり分厚くならないところがいいです。

TUCANO Elements Second Skin

装備が全体で4分の1になったのですから、当然のことながら軽くて快適。これは非常にポイントが高い。発表当日以外もiPadは毎日持ち歩いていましたが、普段カバンに雑誌などを入れることに慣れている僕にとっては、持っていることを感じさせない快適さです。

で、問題はプレゼン時に使えるのか?ですが、これは「現状は条件付きだけど使える」という結論でした。以下、自分の経験をベースに少し書いていきます。

心配だった接続は、会場のプロジェクタとVGAケーブルで難なくつながりました。Keynoteを起動してプレゼンテーションモードにした瞬間に出力されます。準備時にデスクトップ(iPadではホーム画面ですが)が映し出されて格好悪いこともないという点はメリットですが、ホーム画面そのものを解説したいときなどは不便そのものなので、そこは何とかしてほしいです。ちなみにApple Storeのセミナーでは、台にカメラを固定して映してました。それは正直スマートじゃないですよね。

プレゼンをする側として困るのが、iPadはミラーリングができないこと。出力時のiPadの画面は真っ黒になって、現在のスライドが何枚目かの数字が出てるくらい。こちらのできる操作としては、タップでスライドを送る、スワイプで戻す、指で押し続けてレーザーポインタ的なものを表示させること。iPad側にスライドが映し出されませんので、常に背中側の会場スクリーンを見なければいけません。ポインタを出す時も、iPadの真っ暗な画面に指を押し付けながら、その位置は会場のスクリーンで探る必要があり、正直使いやすいとは言いがたいです。

僕はプレゼンのとき、スライドに記述したことをすべて覚えるようにしているので、スライドをずっと見ている必要はそもそもありません。とはいえスライドが送られたことを確認する必要があるので、Macを使っているときは、そのMacの画面を横目で見つつ聴衆を見て話すスタイルにしています。ところがiPadだと、手元にはスライドが表示されませんから、自分の背中側のスクリーンを振り返って確認せざるをえず、無駄な動作が増えます。しかも、いわゆるプレゼンテーション表示(前後のスライドや時計やタイマーを表示させる機能)もできないので、これはマイナスポイントですね。

また僕は、プレゼン用のリモコン「プレジェンヌ」というものもよく使います。手元でスライドを送れるので、操作卓を離れて歩きながらスライド送っていけるうえ、リモコンを手に握っていればスライド送りの操作も目立ちません(プレジェンヌは少し大きいですが)。

プレジェンヌ

スライドはスクリーンをチラ見する方向性でいくなら、iPadも外部リモコンで操作が出来るようにしてほしい。Bluetoothを使ったスライド操作iPhoneアプリとか、作れないものでしょうかね。売れると思うけどなぁ。

あと、これはプレゼン時の問題と直接は関係しないのですが、MacのKeynoteとiPadのKeynoteの機能実装の差が思った以上に大きいです。僕は今回はレイアウトが複雑なスライドを作らなかったので、文字やオブジェクトのズレは気にならなかったのですが、iPad上でちょっと修正しようと思ってもできないことがあったんですよね。たとえば見出しレベルをiPadでは作れないようです。Macで見出しを2段階にしてiPadに持っていったとき問題なく表示されるのですが、いったん見出しレベル2のテキストを全て消してしまうと、新たに作り出したり、見出しレベル1のテキストを見出しレベル2にできないようです(iPadのインスペクタにその機能が見当たらない)。修正がきちんとできないのでは、ストレスが溜まります。

iPadのKeynoteで新規にスライドを作るのはお勧めしません。Macで作った方が効率的です。トランジションとかも一括でかけられますし、基本的な操作も楽です。iPadのインターフェースを考えると、それはまぁ仕方がないでしょう。iPadはビューアーと考えて、Macできちんと作り込んでiPadに持っていくという流れで活用します。だから、せめてMacからiPadへKeynoteファイル(PowerPointファイルはともかく)を持っていったときの再現性は限りなく高めてほしいですし、修正の対応も問題ないレベルにしてほしい。自社ハード&自社アプリですからね。

結論。

MaとiPadではKeynoteの互換性(表示の再現性と機能)に問題があり、プレゼンテーション時の操作もMacに比べ不自由さは否めない。しかしプレゼン道具一式の「軽さ」という大きなアドバンテージがiPadにはある。現状は、少人数の会議や研究会などではiPadの気軽さが生きるが、大人数を相手に失敗できないプレゼンとなるとMacBook Air(ほしいw)などの方がいい。ただ、これは現状の判断であり、iPadのハードやアプリが充実してくれば、iPadが活躍できるフィールドは増えるだろう。

と、ここまで書いて、同じようなことをブログにしてる方がいました。「iPadを使ったプレゼンテーション(1)| 研究留学ネット」そうですよね。やっぱりそう思いますよね。

追記: PDFのスライドであれば、eProjectorというアプリを使うことで、iPhoneをリモコンがわりにiPadを遠隔操作できると教えていただきました。実際使ってみたところ、トランジションにこだわらなければ十分に実用的です。iPadでのプレゼンは現状PDFが良さそうです。