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次はクライアントとワークショップを

1週間ほど経ってしまいましたが、長谷川恭久さんのワークショップ「第13回リクリセミナー with ワークショップ『コンテンツを活かすためのUI設計』」に参加してきましたのでレポートを簡単に。これは、以前ブログにも書いた三部作の完結編にあたるものです。

元々は、岡山の黒ベンツ先生こと大月さん主催のイベントであるamplifizr(アンプリファイザー)で始まったこの企画ですが、好評を受けて全国各地で再演が行なわれています。僕も、第1部は最終再演の地となった高松で、第2部は初演を岡山で、第3部は再演を大阪でと、すべて異なる場所で参加するという結果に。参加の機会が複数用意されているというのは、参加者としてはありがたいかぎりです。大月さん、長谷川さん、ありがとうございます。

さて今回の完結編ですが、ワークのテーマとしては第2部の内容を引き継ぐ形で、具体的なUIモジュールをコンテンツに適用していくことが行われました。僕のグループは全員がWeb制作者かつ旧知の間柄だったので、本題にザクザク入っていくことができ、短時間ながらも充実した意見交換ができた印象。他のグループもきちんと形にしていたので、みなさんさすがのプロという感じでしたね。

ワークをしていて思ったのは、これをクライアントといっしょにやっていくことが大切だな、ということ。コンテンツの内容や役割、あるいはターゲットのニーズやビジネスのあり方などを考えながら、レイアウトを含むインターフェースを考えていく作業ね。Web制作の際に必ず通る道ではありますが、Web制作側が陰でやってしまって、クライアントはそれを評価するだけというパターンが多い気がします。

制作側が、ターゲットや業界を含めクライアントのことを熟知しているような状況であれば、制作側がヒアリングの結果を形にして、それを持ってくるのをクライアントは待つ、という形でもいいのかもしれません。でも実際はどうでしょう。僕の場合、教育業界の人たちと仕事をすることが多いですが、自分自身が教師をしたり、教育研究をしていることもあって、普通のWebデザイナーに比べればクライアントの業界をかなり知っている方だと思います。それでも、現場ごとの課題、組織ごとの問題意識は様々なので、やはりいっしょに話し合う時間を多く取れるに越したことはないです。何か決まったパッケージものを売っているわけではないですし、クライアントも課題の整理から依頼することが多いですから。

そういう話し合いの機会を増やすと、どうしても時間がかかるので、予算も必要になってきます。もちろん、クライアントの積極的な参加も。うちのクライアントはそこがクリアできないから無理!という意見もあると思いますが、やりようによっては、という部分も残されている気はします。

そう思ったのは、前の週に東京で行われたイベントでの、ロフトワークの林千晶さんの話を思い出したから。林さんは、クライアントの課題を整理するためにまずワークショップを単体で行なう、という手法を紹介されていました。クライアントはワークショップに参加することで、これから取り組むべきことが明確になるだけでなく、デザインの手法や効果を理解してもらうこともできます。費用を抑え気味にしてでも、こうしたことを実施に持ち込めれば、クライアントの信頼を得ることができ、その後もスムーズに進められるだろうなと思いました。

ワークショップというのが大仰な場合は、ちょっとしたタスクをクライアント数人でやってもらう、みたいなことは十分にアリなのではないでしょうか。ヒアリングシートで済むのならそれでもいいでしょうが、それでうまくいかない場合の手を持っておくことは、Web制作者にとって重要なのではないかと思います。最近は、自身の授業実践のヒントとして、ワークショップデザイン、コミュニケーションデザインの本をよく読んでいますが、もっと広い領域に応用できそうだなと感じています。

ワークショップといえば、今回のイベントは、ワークに対する主催側の配慮が非常に行き届いていたなぁと感じましたね。模造紙、付箋、ペンなどの道具に加えてお菓子も、十分すぎるほど用意されていました。その日に初めて会った人たちが話し合い、短時間で何か形にする作業というのは、なかなかハードルが高いもの。メンバーのスキルだけでなく、それを効果的に引き出す環境作りも大切で、その質によってイベント全体の価値がずいぶん変わってきます。そのあたりも含めて、改めて勉強になりました。

いい体験でしたーで終わっていては仕方ないので、エッセンスを自分の文脈にどう生かすか、考え続けていきたいと思います。関係者のみなさん、どうもありがとうございました。