withComputer

アグレッシブなナビゲーションを考える

先日できたJR大阪駅のショッピングエリアを見物していて感じたのは、テナントや休憩スペースという点を結ぶ線の設計がうまくいっていない、ということでした。僕は建築に詳しいわけじゃないし、人ごみが好きじゃないので商業施設に行くこと自体もあまりありません。だから、どこをどうすれば良くなるのか具体的に指摘できるわけではありませんが、でもとにかく、歩いていて楽しい感じはしなかったのです。

テナントを詰め込むことを優先したのか、店の隙間を縫うように歩かされている感じのする狭い通路。吹き抜けを多用し、階を飛び越すエスカレーターなどで立体的な構造にしてるぶん、現在地(何階のどの場所にいるのか)が直感的に理解しにくい全体構造。さらに通路はおろか各階の案内図にもない現在階表示。不規則で視界の変化が予測しにくい外階段の配置。建物の作りが結構カオスだなぁと思わざるを得ませんでした。ゼルダのダンジョンで迷子になって泣きそうになる僕にとっては、攻略のハードルが高すぎるエリアでしたね。

追記(2011.05.13):上記は指摘のポイントがユーザビリティっぽい感じになってますが、道を楽しくする工夫はもっとありうるかなぁという気持ちの方が強いです。どう使うのか不明な状態だった中庭は、どーんとオープンカフェにして憩いの場所にするといいかもしれません。立地というか構造上、待ち合わせ場所にはしにくそうなのがちょっと苦しいですけどね。ビル同士をつなぐ道、中庭と建物をつなげる階段、テナントと通路の関係などにもう少し気を配れば、ただの建物という感じは薄れたのかも、という感じです。(追記終わり)

人ごみから抜け出してカフェで休憩中に考えていたのは、これってWebサイトの設計にも通じるヒントがあるなぁということ。テナントを楽しんでもらうために入れ物全体の設計、配置や通路や見通しを工夫するという建築の課題は、魅力的なコンテンツを次々と見てもらうためのサイト設計、レイアウトやナビゲーションや画面遷移の仕方を考えるのと同じなんじゃないかと思ったわけです。

フロアを歩く=画面の上に視線を走らせると考えるならば、その視線移動も楽しくワクワクするものをデザインしたい。サイトはクリックすれば次の画面に遷移しますが、場合によってはその場でコンテンツを表示させたり、周囲を暗くしてコンテンツをフロートさせたりした方が効果的な場合もありますよね。リンクの提示だって、Amazonのようなレコメンドをどう使うか、関連度の高いアイテムをどのタイミングで勧めるか、という要素もあります。迷わない、邪魔にならないナビゲーションというのももちろん大切ですが、サイトの世界に引き込む、滞在しているうちに気分がちょっと高揚してくるような、ある種「アグレッシブなナビゲーション」を考えるのも大切なんじゃないでしょうかね。

ナビゲーションの面白さというと、まずFlashで作られたインパクトのあるサイトが浮かんできたりしますが、そういう視覚効果がなくても、ちょっとした工夫で実現できることはあるんじゃないかな。建築はいったん建ててしまったら、後からそう簡単に変えることはできませんが、サイトは比較的簡単に検証も変更もできるメディアです。具体的に何とはまだ言えませんけど、少し考えてみようと思いました。